「インド最新法令情報‐(2018年7月号) 会社法改正-グループ会社間の金銭貸借取引等に関する規制」

1.はじめに

2018年5月7日、2017年改正会社法(The Companies (Amendment) Act, 2017。以下「2017年法」という。)の最重要改正の一つが施行された。今回の改正は、2013年会社法(The Companies Act, 2013。以下「2013年法」という。)第185条に規定されていたグループ会社間での金銭の貸付、保証又は担保の供与(以下「貸付等」という)に関するものである。なお、2017年法によるその他の主要な改正については、インド最新法令情報2018年4月号を参照されたい。

2.2013年法の下での規制

2013年法第185条は、会社が、①当該会社の取締役又は②当該会社の取締役と利害関係のある者((i)当該取締役が取締役又は構成員である非公開会社、(ii)当該取締役又はその親戚が組合員(partner)である企業(firm)、並びに、(iii)当該取締役の指示に従う法人を含む。)に、貸付等を行うことを一部の例外を除き、禁じていた。かかる規制により、グループ会社間での貸付等へのハードルが高く、効率的な財務活動への障害となっていた。すなわち、ある取締役が複数のグループ会社の取締役を兼務している場合、第185条が適用される結果、グループ会社間で金銭の消費貸借を行うことや、子会社が金融機関から融資を受けるために親会社が保証をすること又は担保を供与すること等ができなかった。これは日本ではあまり馴染みのない規制であるが、インドでは大手企業であっても同族会社が多く、脱税等の汚職を防ぐため、グループ企業間での不透明な貸付等は厳しく規制されてきた。

3.2017年法の下での規制

これに対して、2017年法の下では、以下の2つの条件が満たされれば、上述の「②当該会社の取締役と利害関係のある者」に対して貸付等をすることを認めており、同一の取締役が兼務するグループ会社間における貸付等がこれまでと比べ容易になった。

(1)     当該貸付等が、当該貸付等を受ける会社の主な事業活動のためになされること

(2)     当該貸付等が、当該貸付等を行う会社の株主総会で承認されること

なお、上記(2)承認に際しては、当該貸付等の詳細、目的およびその他関連事項についての説明を、株主総会の招集通知に記載する必要がある。

4.コメント

上記のように、グループ会社間の貸付等に関する厳しい規制が一部緩和され、グループ会社間の貸付等が容易となったため、財務コストの削減が期待できる。一方、2013年法の下では、法令違反による制裁の対象は、法令に違反した会社および同法第185条に規定される「取締役」に限られていたが、2017年法では制裁の対象が拡大され、取締役、マネージャー(manager)、主要経営責任者(key managerial personnel)並びに取締役会又は取締役の指示に従って業務を遂行する者も含まれることとなった。場合によっては、禁固刑を科せられることにもなるので、現地法人に役職員を派遣する際には、留意する必要がある。

以上

TMI総合法律事務所 インドデスク

平野正弥/白井紀充/宮村頼光/仲居宏太郎

info.indiapractice@tmi.gr.jp

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