ブラジル

法務基本情報

名称 特徴・留意点

1.進出形態

【主要法令】

2002年法10406号(民法)、1976年法6404号(会社法)

【ポイント】
  • 外資の一般的な企業形態としては、以下のものがある。
    • + Sociedade Limitada:民法で規定される法人形態。持分はQuotaと呼ばれる。株主(Quota保有者)は2人以上必要(個人・法人問わず、また、国籍・所在地は問わない)。業務執行者1人で足りるが、ブラジル居住者で、かつ、ブラジル人又は役員用一時居住ビザを有する外国人である必要がある。取締役会、監査役会の設置は義務はない。財務諸表の公告が原則不要。株主名・持株数は定款に記載され、定款は法務局で公開される。種類株式は発行できない。ブラジルで最も一般的に採用されている形態である。
    • +Sociedade Anonima:株主は2人以上必要(個人・法人問わず、また、国籍・所在地は問わない)。業務執行者は2人以上必要(ブラジル居住者で、ブラジル人又は役員用一時居住ビザを有する外国人である必要がある)。上場会社でなければ取締役会の設置は義務でない。取締役会を設置する場合、取締役は最低3人必要(国籍・居住地問わない)。監査役会の設置義務はない。種類株式の発行が可能。財務諸表の公告が必要。
  • 外国企業の支店:外国企業が支店を設立するためには政府の承認が必要となるため、事実上支店を設立するはほとんどない。

2.競争法

【主要法令】

2011年法12529号(競争法)

【ポイント】
  • 管轄当局はConselho Administrativo de Defesa Economica(CADE)
  • 競争制限的行為(競争制限的協定、市場支配的地位・独占的地位の濫用、経済集中)の規制を行う。
  • M&Aにおいて合併・事業取得・共同事業・業務提携などの経済集中(支配権の異動のない場合も一定の場合含まれる)が行われる場合、以下の要件を満たす場合には、CADEの事前承認が必要となる。
    • + 一方当事者のグループ会社全体の前年度の売上が7億5,000万レアル以上
    • + 他方当事者のグループ会社全体の前年度の売上が7,500万レアル以上であること

3.不動産法制

【主要法令】

1964年法4504号(土地法)、1971年法5709号、1993年法8629号

【ポイント】
  • 都市部(以下の「地方の土地」、国境付近の土地、軍所有地及びアマゾン地域以外の土地)の土地取得・賃借に関する規制はない
  • 「地方の土地」(imóvel rural )として登録されている土地の取得・賃借については外資規制がある。
    • + 外国人(個人):ブラジル非居住者は取得・賃借できない。ブラジル居住者の場合、取得・賃借できる面積が決まっており、それを超えたら行政機関の許可が必要となる。
    • + 外国法人:取得・賃借できる面積が決まっており、それを超えたら行政機関の許可が必要となる。外国法人の場合、地方の土地の取得目的が法定の目的(農業、畜産、鉱業等の計画の実施)である必要があり、かつ、当該目的が定款に規定されている必要がある。さらに、当該目的について行政機関による承認を受ける必要がある。
    • + 外国人(個人・法人)が取得できる地方の土地の総量は、各地方自治の25%を超えてはならない。さらに、25%のうち40%以上を、同一国籍の外国人(個人・法人)が取得することはできない。
    • + 外国資本参加のブラジル国籍企業については、(長年議論されているが)現時点では、同様の規制を受ける。

4.労働法

【主要法令】

1988年憲法、1943年法5452(労働法)、その他

【ポイント】
  • 2017年11月に労働法が大幅に改正された。ただし、改正労働法が実務に定着するには時間がかかる(改正労働法に反対する訴訟が多数提起されている)。
  • 原則として期限のない雇用契約。例外的に季節的業務・特定業務のために期限の定めのある雇用契約が認められる。
  • 解雇は自由。
  • いったん付与した賃金や各種ベネフィットを下げることはできない。
  • 時間外労働時間は、1日2時間まで。
  • 労働者を代表する組合と使用者を代表する組合がある。会社の所在地・業態によって組合が決まる。労働者組合・使用者組合間の協約に会社は拘束される。
  • あらゆる業務についてアウトソースができることが2017年の法改正で認められた。

5.知的財産権法

【主要法令】

1996年法9279号(産業財産法)、1998年法9610号(著作権法)

【ポイント】
  • 産業財産法が、特許、実用新案、工業意匠、 商標、地理的出所の表示、不正競争、技術移転等について規定。
  • 著作権は無方式主義を取っている。
  • 特許、実用新案、商標等の登録には時間がかかる。
  • ブラジル企業が外国企業との間で知的財産権のライセンスを締結し、それに基づき外国企業に対してロイヤリティを支払う場合、特許庁(INPI)への登録が必要。また、グループ会社間のライセンス契約に関しては、ロイヤリティの率の上限が決まっている。特許化されていない知的財産(ノウハウ)のライセンスについては、ライセンス期間経過後、ライセンシーによる利用を阻止することはできない(ライセンス契約ではなく事実上譲渡契約のような形で取り扱われている)。

6.裁判制度・仲裁

【主要法令】

2015年法13105号(民事訴訟法)、1996年法9307号(仲裁法)

【ポイント】
裁判制度
  • 連邦裁判所及び州裁判所に分かれる。連邦裁判所は、外国又は国際機関が関与する訴訟や連邦政府やその機関が当事者となる訴訟について専属的管轄権を有する。連邦裁判所の枠内で、労働裁判所、軍事裁判所及び選挙裁判所がある。州裁判所はそれ以外の訴訟について管轄権を有する。
  • いずれの裁判所も三審制である。
  • 裁判所に提出する文書は、全て公証翻訳家によりポルトガル語に翻訳しなければならない。
  • 裁判管轄の指定:外国の裁判所を管轄裁判所として、外国の法律を準拠法とすることもできる。ただし、ブラジルに所在する不動産に関する訴訟など、一定の場合には、ブラジルの裁判所が専属的な管轄権を有する。
  • 外国の裁判所の判決をブラジル国内で執行するには、ブラジルの裁判所の承認を必要とする。
仲裁
  • 実務的には、契約当事者により、国内仲裁が選択される例が多い。
  • 外国仲裁判断をブラジル国内で執行するには、ブラジルの裁判所の承認を必要とする。

7.外国為替管理・輸出入管理

【主要法令】

1962年法4131号(外国資本法)

【ポイント】
  • ブラジル国内向けの投資・貸付には、ブラジル中央銀行(BACEN)での登録が必要。ブラジル中央銀行への登録は、同銀行のシステム(SISBACEN)により行う。
  • ブラジル国内に外国投資(capital estrangeiro)をする外国人(個人・法人)は、事前に税務番号(個人の場合はCPF、法人の場合はCNPJ)を取得する必要がある。

8.コンプライアンス

【主要法令】

2011年法12529号(競争法)、2013年法12846号(腐敗防止法)、1940年2848号(刑法)

【ポイント】
  • カルテル(競争法):課徴金は行政手続が開始された年の前年の違反行為の対象となった市場における総売上高(グループ会社の売上を含む)の0.1%から20%。リニエンシー制度あり。2番目以降の通報者にはTCCというリニエンシーと同趣旨の制度がある。
  • 汚職行為:2014年1月に腐敗防止法が施行された。同法により法人も罰せられるようになった。ブラジルに子会社を有する外国法人にも同法は適用される。課徴金は調査開始年の前年度の売上高から税金を控除した額の0.1%~20%。個人は刑事罰(罰金及び懲役)が科せられる。リニエンシー制度あり。

9.撤退

【主要法令】

2002年法10406号(民法)、1976年法6404号(会社法)

【ポイント】
  • 撤退に当局の承認は不要
  • 解散・清算:解散決議後、公告及び清算手続きを行い、清算結了後に、公告し、法務局、税務局などで必要な手続きを行う。
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