中国

法務基本情報

名称 特徴・留意点

1.進出形態

【主要法令】

会社法、中外合資経営企業法、中外合資経営企業法実施条例、外資企業法、外資企業法実施細則、外国企業常駐代表機構の管理に関する暫定施行規定等

【ポイント】
  • 外国企業が中国に進出するにあたっては、外商投資企業(中外合弁企業、中外合作企業、外商独資企業、外商投資株式会社、外商投資パートナーシップ企業といった様々な形態がある)の設立、代表処(いわゆる駐在員事務所)の設置、あるいは支店の設置といった方法があるが、実務上は、外商投資企業のうち中外合弁企業又は外商独資企業という形態を採るか、代表処の形態を採ることが多い。
  • 外商投資企業が従事することのできる業種は、外商投資産業指導目録によって規律され、(投資の)奨励類、制限類、禁止類、許可類に分別されている。産業によっては、中国側の保有持分が51%以上であることが要求されていたり、合弁・合作でなければ従事できないなどといった制限が置かれていたりすることがある。

2.競争法

【主要法令】

独占禁止法、価格法、企業結合届出弁法、不正競争防止法等

【ポイント】
  • 独占禁止法では、①水平的独占協定、②垂直的独占協定、③支配的地位の濫用、④事業者の合併や株式・資産の取得を通じて他の事業者の支配権を取得する企業結合、の大きく4つの形態の競争阻害行為を規制している。
  • (1)企業が(a)合併、(b)持分・資産の取得により、他の事業者に対する支配権を取得し、又は他の事業者に決定的な影響を与えることができるようになった場合、(c)契約等の方法により他の事業者に対する支配権を取得し、又は他の事業者に決定的な影響を与えることができるようになった場合のいずれかの場合で、且つ、(2)(a)企業結合に参加する全ての事業者の前年度の全世界売上の合計が100億人民元を超え、且つそのうちの2つ以上の事業者の前年度の中国国内での売上がいずれも4億人民元を超える場合、(b)企業結合に参加する全ての事業者の前年度の中国国内での売上の合計が20億人民元を超え、且つそのうちの2つ以上の事業者の前年度の中国国内での売上がいずれも4億人民元を超えている場合のいずれかに該当する場合、企業結合に該当し、当局への届出をすることが必要となる。

3.不動産法制

【主要法令】

物権法等

【ポイント】
  • 全ての土地が全人民の所有(国有)か農村地域における集団所有のいずれかとされており、企業や個人が土地所有権を取得することはできない。
  • 他方、私人の土地利用については、土地使用権の取得が認められている。土地使用権は①払下土地使用権と、②割当土地使用権に分別されるが、事業用地の利用については、一般的に払下土地使用権の取得が必要である。
  • 払下土地使用権を取得した場合、当該土地上には、建物を建築し、当該建物の所有権を取得することができるが、土地使用権には、当該土地の使用用途や、使用期間が定められているため、これに反した使用はできない。
  • 建物の所有権と土地使用権については、一体として譲渡することが必要とされているため、制度上は、建物所有権者と土地使用権者は一致する。
  • 他方、工場や商業施設等の建物を賃借して事業経営することも広く行われている。

4.労働法

【主要法令】

労働法、労働契約法、労働契約法実施条例等

【ポイント】
  • 労働契約には、固定期間の労働契約と無固定期間の労働契約がある。固定期間の労働契約については、契約期間が終了すれば自動的に契約終了となる。なお、固定期間の労働契約を2回更新した場合や同一の使用者の下で連続勤続年数が10年に達した場合等は原則として無固定期間の労働契約となる。
  • 時間外労働時間は、原則として1日1時間、1か月36時間までとされている。時間外労働については1.5倍(土日は2倍、祝日は3倍)の割増賃金を支払う必要がある。
  • 年次有給休暇は、連続して1年以上勤務した労働者について、累計勤務年数に応じて5日~15日付与することが必要であり、使用者側の理由によって、労働者が1歴年度に有給休暇を消化し切れなかった場合には、当該部分に関して補償金を支払う必要がある(未消化分の買取)。
  • 使用者が労働者を解雇することができる場合は法定されており、当該法定要件を欠く解雇は違法解雇として、法定の経済補償金の2倍相当の賠償金の支払が必要。実務上は、法定の経済補償金に一定の上乗せ金額を支払うことを条件として労働契約の合意解除によって契約を終了させることが多い。
  • 使用者側の理由で適法に労働契約を解除・終了する場合(合意解除、期間満了による終了を含む)でも、経済補償金を支払う必要がある。経済補償金の法定基準は、原則として、当該労働者の過去12か月の平均賃金に勤続年数を乗じた金額である。

5.知的財産権法

【主要法令】

特許法、商標法、著作権法等

【ポイント】
  • 特許権(発明特許権、実用新案特許権、意匠特許権)、著作権、商標権を中心とした知的財産制度が置かれている。
  • 特許権、商標権はいずれも登録が権利発生要件となっているのに対し、著作権については、著作物を創作した時点で権利が発生するが、著作権の登録制度が存在する。実務上、権利侵害に対する司法的、行政的救済手段を採るにあたり、著作権登録は有効な証拠となっている。
  • 税関に対して、権利者が保有する知的財産権の届出をすることによって、模倣品の水際対策をすることも可能となっている。
  • 模倣品対策としては、冒用特許等に係る無効審判の申立や、裁判所に対する模倣品製造・販売等の差止請求をすることのほか、工商局や版権局等の所轄当局に通報することで、行政処分の発動を促すことも実務上は行われている。

6.裁判制度・仲裁

【主要法令】

民事訴訟法、仲裁法等

【ポイント】
裁判制度
  • 二審制が取られており、最高裁判所に対する上告制度はない。他方、再審は、日本よりも比較的多く行われている。一審については原則として6か月以内、二審については3か月以内に終了することが法律上定められている。
  • 訴訟は職権主義、口頭主義の傾向が強い。
  • 裁判所に提出する書証はいずれも中国語(外国語の場合には翻訳を付す)でなければならず、また、外国で作成されたものについては、当該外国の公証機関による公証及び中国領事認証を得ることが必要。
  • 日本と中国の間は相互の保証がないため、裁判所の判決を相手国で強制執行することができない。したがって、通常、日中間の契約における紛争解決条項には、一方の国の裁判所での専属管轄合意を定めるべきではなく、仲裁条項を置くのが望ましい。
仲裁
  • 中国の仲裁機関以外の仲裁機関における仲裁判断について、中国国内で執行するには、中国の裁判所による承認・執行決定を要するが、実務上承認執行には相当の費用と時間がかかる恐れがある。また、保全処分も行うことができない。そのため、中国国内での保全・強制執行を見据えた場合には、中国国内の仲裁機関での仲裁を行う旨の仲裁条項をおくことが望ましい。

7.外国為替・輸出入管理

【主要法令】

外貨管理条例、外債登記管理弁法等

【ポイント】
  • 中国国内の取引では、保税区の取引を除き外貨建ての決済が禁止されている。そのため、中国企業が外貨を取得する主な手段は、①貿易取引の対価、②出資金の払込(増資を含む)、③外貨建ての借入(外債)があり、①については、経常項目、②及び③については、資本項目として扱われる。これら経常項目及び資本項目の属する取引によって得られた外貨は、それぞれ専用の口座にて管理される。
  • 輸入代金の対外送金を行う場合、インボイス、契約書、輸入通関書のいずれかの原本を銀行に提示し、また、輸出代金を受ける場合には、国際収支受け取り申請書を提出すれば足りるとされる。
  • 非貿易項目取引(ライセンス料、サービス料、損害賠償金等)に係る対外送金については、銀行において、契約書やインボイス、その他関連する資料を提示すれば、原則として海外送金をすることが可能。
  • 外商投資企業においては、投資総額及び登録資本の差額分(投注差)の範囲において外国からの借入をすることができる。
  • 近時では人民元が取引の決済通貨や、海外らの出資に用いられることが増えている(越境人民元)が、越境人民元については、中国国内の人民元取引と異なり、外貨と類似の規制に服することに注意が必要である。

8.コンプライアンス

【主要法令】

刑法、不正競争防止法

【ポイント】
  • 中国では、公務員等以外の私人間同士で利益供与をする行為についても、商業賄賂として処罰され得る。
  • ①取引の機会又は競争上の優位性の獲得を図るために、②財物又はその他の手段を用いて、取引相手の従業員等に対して賄賂行為をする場合には商業賄賂として処罰対象となり、取引の機会を得るために、取引の相手方に対して現金や財物を与える場合はもちろん、コンサルティング料、手数料等といった名義を利用して経済的便宜を図る場合も、商業賄賂となり得る他、国内外の各種名目の旅行、視察等に同行させるといった場合も商業賄賂と認定される可能性がある。
  • 適法な贈与行為と違法な商業賄賂行為の区別については、①財物の授受が発生した背景事情(親族関係の有無や、従前の交流の有無や状況、程度等)、②受け渡しがなされた財物の価値、③財物の授受の原因、時期、方式、財物の提供者から受領者への職務上の請託の有無、④財物受領者が職務上の便宜を利用して提供者のために利益を図ったか、といった要素を考慮し、総合的に判断するものとされている。

9.撤退

【主要法令】

会社法、企業破産法等

【ポイント】
  • 実務上、中国事業からの撤退にあたって主に用いられる方法としては、①持分譲渡による撤退、又は②清算による撤退がある。
  • 持分譲渡による撤退は、手段として相対的に最も容易な方法であり、実務上も多く利用されている。
  • 清算による撤退は、定款に定めた営業期間の満了や、解散決議がなされたことなど、会社の解散事由が生じたことを前提として、所定の手続にしたがい、清算委員会の届出、解散の通知・公告、税務登記、税関登記、外貨登記等の抹消、銀行口座の閉鎖、そして工商部門での登記抹消という過程を経て行われる。持分譲渡による撤退と異なり、法人格が消滅することから、従業員の解雇、資産の処分や債務の弁済といった事項への対応が必要となる上、税務登記抹消に先立って行われる税務清算手続に相当の時間がかかるため、順調に行っても半年程度は必要である。
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