ベトナム最新法令情報 ベトナム法務基本情報

ベトナム社会主義共和国は、インドシナ半島東部に位置し、南北に長くのびた形状となっています。東は東シナ海に面し、北においては中華人民共和国、西においてはラオスおよびカンボジアと接しています。

人口は、11年7月現在、9000万人を超え、平均年齢も27・8歳と若く伸び盛りの国です(Central Intelligence Agency “The World Fact Book”より)。歴史的に、元寇等をはじめとした中国による侵攻、フランスによる植民地支配、ベトナム戦争の際の米国による侵攻、ソビエト連邦による中央計画経済のもとで経済活動が進められたこと等のさまざまな経験を経てきた上、86年に採択されたドイモイ(「刷新」)政策に基づいて分配経済から市場経済へと移行が行なわれた結果、現在においては、社会主義指向型の市場経済が採用されていることもあり、法律もトップダウンによる管理型法整備の傾向が強く、度重なる改正により、その内容が変更されることも多いといえます。以下に、基本的な法律の特徴及び留意点を図表にて示します。

  特 徴 留意点
法律全般/民法(契約法) ● ベトナム民法については、伝統的中国法、ナポレオン法典を含むフランス法およびマルクスレーニン主義に基づく社会主義法の影響を受けているといわれる。また、一般的に日本の法整備支援を受けて制定された法律に関しては、日本法の影響を受けているものも見られる。 ● ベトナム語においては、多義的な用語が多いこともあり、法解釈にあたっては注意が必要。
● 曖昧な語句を補完する公開判例や学術書等が極端に少ないため、ローカル弁護士による助言を得ることは必須。
会社法 ● 統一企業法により規定される。

● 様々な企業形態についての定めがあるが、べトナムにおいて外国投資家が子会社を設立しようとする場合、一般的な企業形態としては、有限会社又は株式会社といった形態があげられる。

● 株式会社に関しては、新株発行、株式譲渡、種類株式、利益分配など様々な株式会社に関する基本的な概念についての定めが置かれている。

● 外国投資会社において最も一般的に採用されているのは、一人有限会社又は二人以上有限会社である。

● 新株発行、株式譲渡、種類株式、利益分配など様々な基本的な概念についての定めはあるものの、規定はあいまいな場合が多い。

● 新株発行、株式譲渡、種類株式、利益分配など実務的に重要な規定について曖昧な文言が多く、運用は必ずしも明確ではない。

投資関連法 ● ベトナム投資家および外国投資家の双方につき、投資を行う際に遵守すべき統一された法的枠組みを提供共通投資法により規定される。

● 優遇または制限の対象となる投資分野、②投資家が実行することのできる投資形態、③適用される許可要件、③紛争解決およびベトナムが投資家に付与する保障に関する一般条項を定めている。

● 一定の投資分野における外国資本の市場参入制限の段階的廃止に関しては、別途WTO Commitmentに基づきベトナムが約束したスケジュールに従う必要がある。
労働法 ● 労働、試用期間、雇用契約、労働協約、賃金、法定労働時間および休日、労働規律および製造物責任、労働安全衛生、女性被雇用者の処遇、社会保険、労働組合および労働争議の解決方法についての定めがある。

● 労働契約を締結するにあたっては、労働法の下で定められた最低賃金、法定労働時間、時間外労働および残業手当、解雇通知、解雇手当などの一定の最低要件を遵守する必要があり、これらの条件に反する条項は無効となる。

● ベトナム労働法は、極めて労働者有利の規定となっているため、事前の詳細なリサーチが肝要。

● 2013年5月1日より、全面改正された労働法が施行される。

知的財産権法 ● 知的財産に関する法律等により規定される。

● 著作権、工業所有権(特許権、実用新案権、工業意匠権)、商標、商号、地理的表示、営業秘密、植物品種権等が保護の対象。

● 知的財産権の侵害があった場合、侵害行為の差止め(警告書の送付等)、損害賠償請求が可能。その他、民事訴訟の提起、仮差止請求、行政上の強制措置の要請、税関に対する措置の要請、刑事上の強制措置の要請等が可能。

● マドリッド議定書および工業所有権の保護に関するパリ条約等種々の国際協定に加盟。
競争法 ● 競争に関する法律等が、競争を制限する会社の行為、市場における支配的または独占的地位の濫用および経済集中を規制。

● 競争法違反に対する制裁措置には、対象事業者の年間の売上高の10%を上限とする制裁金や、営業許可の取消等がある。

● 競争法違反の捜査期間は、最大10か月と長く、決定が出るまでの期間については、法律の決まりはない。

● 曖昧な規定が多く、現実の執行事例も増加しており、注意が必要。

裁判制度/
弁護士事情
● 民事手続については、民事訴訟法等により規定される。

● 最高人民裁判所、省級人民裁判所、県級人民裁判所と三つのレベルの裁判所がある。

● 県級人民裁判所および省級人民裁判所が第一審を審理する権限を有し、第一審には、2名の一般人である人民参審員が参加。判決に際しては、裁判官と各人民参審員はそれぞれ一票ずつを有する。
● ベトナム語以外の言語による文書と証拠は、裁判所への提出にあたりすべて認証され、ベトナム語に翻訳され、かつ、公証されなければならない。

● 民事訴訟の当事者は、一定の金額を供託したうえで、保全措置の申立てを行うことも可能。

● 日本企業のベトナム子会社とベトナム企業間の商事契約から生じる紛争につき、日本の裁判所を管轄裁判所とすることは可能。ただし、両国間に、裁判所の判決を相互承認するための特別な司法協定がないため、日本の裁判所における判決をベトナムにおいて執行することは、非常に困難。

(なお、本ホームページ上の記載内容は全て一般的な参考情報の提供を目的とするもので、法的アドバイスを提供するものでないため、法的なアドバイスを受けることなく、本ホームページ掲載の情報に依拠して事業活動を行った場合でも、TMI総合法律事務所としては法的責任を負うものではない点にご留意くださいませ。)

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