「インド最新法令情報‐(2019年3月号) 重大な影響力を有する保有者に関する報告義務」

1.  はじめに

2019年2月8日、2019年重大な影響力を有する保有者に関する会社改正規則(Companies (Significant Beneficial Owners) Amendment Rules, 2019。以下「SBO改正規則」という。)が施行された。SBO改正規則は、2018年6月14日付けの通知にて定められた内容、すなわち、インド企業に対して「重大な影響力を有する保有者(Significant Beneficial Owners。以下「SBO」という。)」の該当性基準を明確にしたものである。

本号では、SBO改正規則の主要な内容を解説する。

2.  規制の概要

(1)   報告義務

ア.  SBO

SBOに該当する者は、自己が重大な影響力を有するインド企業(以下「報告対象会社」という。)に対して、SBO改正規則の施行日から90日以内、すなわち2019年5月8日まで、に報告対象会社に報告を行う必要がある。

次のいずれかの場合に該当する者は、SBOであるとみなされる。

株式保有

  • 10%以上の株式を間接的に保有する場合

議決権

  • 10%以上の議決権を間接的に保有する場合

配当金等の分配

  • 10%以上の配当等を受領する権利を間接的な株式保有を通じて保有する場合

重大な影響力

  • 報告対象会社における、財務又は経営方針の決定に関して、直接的又は間接的に、重大な影響力を有する場合

支配力

  • 取締役の過半数を指名することができる権利を有する場合
  • (i)株式保有、(ii)経営権、(iii)株主間契約又は(iv)議決権拘束契約を通じて、経営方針の決定に関して、直接的又は間接的に、支配力を有する場合

 

※ 上記表における「間接的」に保有とは、報告対象会社の株主である法人の50%以上の株式、議決権又は配当金等を受領する権利を保有する場合で、当該持株比率に報告対象会社の株主である法人の報告対象会社に対する持株比率を乗じた数が10%以上となる場合を指す。例えば、ある個人(A)が報告対象会社の株主である法人(B)の株式を51%保有し、Bが報告対象会社の株式を30%保有する場合、Aが保有する51%にBが保有する30%を乗じた数が、15.3%、つまり10%以上となり(30%×51%=15.3%)、Aは報告対象会社との関係でSBOに該当する。

 ※  以下に列挙する報告対象会社に対し直接的な権利を有するに過ぎない者は、SBOには該当せず、SBO改正規則上の報告義務は負わない。

 ・報告対象会社の株式の登録名義人である場合

 ・報告対象会社の株式に係る受益権を有しており、かつ、当該受益権について報告対象会社に申請している場合

イ. 報告対象会社の義務

一方で、報告対象会社は、報告対象会社におけるSBOを特定し、当該SBOに対して報告させることが義務付けられる。加えて、報告対象会社は、SBOによる報告から30日以内に会社登記所にSBOの登録を行わなければならない。

(2)   適用除外

投資家教育・保護ファンド(Investor Education and Protection Fund; 2013年会社法にその設立根拠を有し、投資家の利益および投資に対する認識を促進するための基金。)や、行政機関等には、SBO改正規則は適用されない。

(3)   罰則

ア. SBOが、報告対象会社への報告義務に違反した場合、SBOには1年以下の禁固刑又は10万インドルピー(約16万円)以上100万インドルピー(約160万円)以下の罰金が科される。なお、違反状態が続く場合、一日当たり1,000インドルピー(約1,600円)の罰金が科される。

イ. 報告対象会社が、会社登記所へのSBOの登録義務に違反した場合、登録の維持義務に違反した場合又は登録に関する監査を拒んだ場合、報告対象会社および報告会社の役員には、100万インドルピー(約160万円)以上500万インドルピー(約800万円)の罰金が科される。なお、違反状態が続く場合、一日当たり1,000インドルピー(約1,600円)の罰金が科される。

ウ. 報告に関して、故意に(i)虚偽の内容を記載した場合又は(ii)重要な内容を記載しなかった場合、詐欺罪に該当し、6か月以上10年以下の懲役又は当該違反行為に関する金額の3倍以下の罰金に科される。

3.  コメント

SBO改正規則には、SBO該当性の要件等に関して不明確な点も残っており、SBO改正規則の内容は、今後、ガイドライン等によってさらに明確化されることが予想される。しかし、SBO改正規則には、以上のように罰則も設けられていることから、インド企業に対して出資をしている日系企業においては、SBO改正規則に従い、2019年5月8日までに、自社又は子会社・関連会社の出資先インド企業におけるSBOへの該当性を検討し、該当する場合には報告対象会社に報告を行うことや、インド子会社において、SBOの特定およびSBOに対する報告要請を行わせるよう、準備を進めておくべきである。

以上

TMI総合法律事務所 インドデスク

茂木信太郎/白井紀充/宮村頼光/仲居宏太郎

info.indiapractice@tmi.gr.jp

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