オーストラリア連邦政府は、2026年5月19日に外国投資規制の改正方針について公表しており、2026年末までに具体的な法案が示されることが予想されています。そこで本稿では、現状オーストラリアの外資規制について現状どのような課題があって、それに対してどのような改革が志向されているのか、日本企業による投資を念頭に、その概要をご説明いたします。
はじめに
オーストラリアの外国投資規制は、要件を満たす場合にForeign Investment Review Board(FIRB)に対する申請を義務付け、外国からの投資がオーストラリアの国益に反しないかどうかを審査する仕組みです。
オーストラリア連邦政府は、外国投資がオーストラリアの経済成長・雇用創出・技術革新に不可欠であることを認識しつつ、国際安全保障環境の複雑化に対応するため、この外国投資規制の見直しを進めています。
ごくかいつまんで言いますと、オーストラリアの国益に対して低リスクの投資については手続きを迅速化し、高リスクの投資については審査を強化するという、「メリハリ」のある制度に改める趣旨の改革を目指していると言えます。改正方針の主な内容は次のようにまとめることができます。
- 低リスクの投資申請について審査期間を30日以内とする数値目標の導入
- 低リスクの投資申請を念頭においた規制の効率化・簡素化
- 免除制度、免除証明書制度の改善
- 高リスクの投資申請に対する規制強化
以下では、上記の改正方針がどのような現状の課題を変えていこうとするものなのか、具体的に見ていきます。なお、日本企業による投資への影響という観点から絞り込んでいますので、公表されたすべての改正方針について網羅的にご説明するものではない点についてご留意ください。




今後について
以上をまとめますと、今回の改正方針は、免除証明書制度に関する改善を除いては、日本企業による投資への好影響は限定的であるように見えます。
むしろ、鉱業権を含むセンシティブセクターへの申請義務付けを拡大することや、関連者の定義を拡大し、非所有形態の支配(オフテイク契約等)を伴う投資も審査の対象とすることは、総合商社やエネルギー企業による投資実務への影響は小さくなく、規制強化となると予想されます。
今後2026年末にかけて改正法案が準備され、意見提出の機会が設けられると想定されますので、引き続き状況を注視していく必要があります。