第4回は、タイの外資規制の概要の続きとなります。
繰り返しのおさらいとなりますが、タイの外資規制を定めるForeign Business Act, B.E. 2542 (1999)(以下「FBA」といいます。)上、①「外国人」が、②「タイ国内」で、③FBA規制事業を実施することが原則禁止されており、④各事業に応じて「例外要件」を充足した場合に限り、FBA規制事業を実施することが可能です。
今回より、④FBA規制事業実施のための例外要件についてご説明いたします。
概要
まず、「外国人」による実施が禁止されるFBA規制事業を例外的に実施するためには、以下のいずれかをFBAを所管する商務省事業開発局(Department of Business Development。以下「DBD」といいます。)より取得する必要があります。
①Foreign Business License(外国人事業許可)
②Foreign Business Certificate(外国人事業証明)
Foreign Business License(外国人事業許可)について
Foreign Business License(外国人事業許可。以下「FBL」といいます。)は、DBDが、タイ国内企業との競争への影響や、外国企業によるタイへの技術移転の可能性など、様々な要素を総合的に考慮した上で、「外国人」に対してタイ国内における事業の実施を許可する仕組みです。
FBLの付与の判断は、DBDの広範な裁量に委ねられており、仮に許可が得られるとしても、申請した事業内容に対して一定の条件や制限が付されることがあります。例えば、第3回では、サービス業全般がFBA規制事業に該当する旨をご説明しましたが、サービス業を無制限に行うことを目的としてFBLを取得することは容易ではありません。
したがって、クライアントの皆様からご相談をいただいた際には、まずFBLの取得以外の方法によってFBA規制事業の実施可能性を検討いたします。その上で、他の方法による実施が困難である場合には、最終的な選択肢として、FBLの取得可能性を検討することになります。
なお、実務上、FBLの取得までには、FBLの取得可能性の事前調査期間も含めて、約1年程度を要することがあるため、タイにおける事業展開を検討する際には、リードタイムについても注意する必要があります。
Foreign Business Certificate(外国人事業証明)について
他方、Foreign Business Certificate(以下「FBC」といいます。)は、「外国人」が「FBLの取得以外の方法によりFBA規制事業を実施することが認められている」ということについて、DBDが確認し、その旨を証明(Certify)する仕組みです。
FBAを所管しているDBDとしては、「外国人」によるFBA規制事業の実施状況を把握する必要があります。
もっとも、「外国人」がFBLを取得するというルートを辿ることなくFBA規制事業を実施することも認められているため、FBCは、他のルートにてFBA記載事業が実施可能であることについてDBDが確認し、証明する制度となります。
したがって、FBC自体の取得のために独自の要件が存在するわけではなく、FBA規制事業の実施が可能とする(FBL取得以外の)他の要件を満たしているかどうかという点が重要となります。このような趣旨から、FBC自体の取得手続は比較的簡易であり、通常、申請から発行まで約1か月程度で完了します。
なお、他の例外要件に何らかの変更が生じた場合には、当該例外要件に基づいて取得したFBCについても変更を検討する必要がありますので、注意が必要です。
よくあること
私たちがDue Diligenceを行うと「(他の例外要件としての)BOI Certificateを取得しているからFBCを取得していないことについて問題ないだろう」と会社ご担当者様からご回答いただくこともあります。もちろん、BOI Certificateの取得だけでも足りると整理できるケースもありますが、事業内容にFBA規制事業が含まれるのであれば、FBCの取得は必要です。したがって、他の例外要件を充足させるという点も大切ではあるものの、上述したFBA上の基本的なコンセプトを抑えておくことも大切なことであると考えます。
次回に向けて
次回は、④FBA規制事業実施のための例外要件としての、投資委員会(BOI)による投資奨励制度について具体的にご説明いたします。