第6回は、タイの外資規制についての最終回となります。
今回は、IEAT(タイ工業団地公社)についてご説明いたします。
IEATとは
Industrial Estate Authority of Thailand(IEAT)は、1979年に制定されたIndustrial Estate Authority of Thailand Actに基づき設立された、Ministry of Industry(タイ工業省)の管轄下にある国営企業であり、タイ全土における工業団地の管理等を行っている政府機関です。
IEATが管理する工業団地は、General industrial zoneとFree zoneに区分され、前者に所在する法人はタイ国内外への製品販売のための製造業及びその付帯するサービス業の、後者に所在する法人は主に輸出を前提とした製造業やその付帯するサービス業の実施が認められております。
なお、第3回でご説明した通り、そもそも製造業(及び付帯するサービス業)は外資規制の対象となりませんが、「外国人」にとってIEATが管理する工業団地に拠点を置く最大のメリットは、その特権を享受できることです。
以下がその特権の抜粋です(参照:https://www.ieat.go.th/en/benefits-in-industrial-estates)。
| 全ての工業団地区分 | Free zoneのみ |
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土地所有について
少し脱線しますが、Land Code B.E. 2497 (1954)(土地法)上、原則として外国人による土地所有は認められていません。
また、タイには、日本の借地借家法のような賃借人保護を重視した法令は存在しません。
3年以上の賃貸借契約は土地局にて登記しなければ3年間しか効力を有さず、また、登記できる賃貸借期間の上限は30年とされていることから、製造業を営む法人が安定的な事業運営を行うためには、土地・建物の恒常的な利用を確保する必要があります。
そして、①BOIの投資奨励が付与され、土地所有の特権が認められている場合や、②IEATの工業団地内で土地の所有が認められている場合などには、例外的に外国人であっても土地を所有することが認められます。
したがって、製造業を営むのであれば、例えばIEATの工業団地に拠点を置き、その特権として土地を所有することによって、土地・建物の安定的な利用を図ることができるのです。
IEATに関連する疑問点
IEATに関連するご質問は様々な文脈で頂戴します。
IEATの工業団地内で実施可能な事業範囲の変更手続き、所有する土地上の建物の建築適法性に関するデューデリジェンス、フリーゾーンへの輸出入可能な製品の範囲の調査及び土地取得に関する売主との契約交渉など、当オフィスでも多岐にわたるご相談に対応させていただいております。
IEATに関しては、独自の法令に基づく規律が存在するため、そのようなご相談の多くはIEATの担当官と協議の上対応を進めることとなりますが、中には、別の当局である商務省事業開発局(DBD)の管轄事項とオーバーラップする事案(特に、外国人事業証明(FBC)の取得の要否や、取得したFBCの調整)もあり、DBDとIEATの両機関に問い合わせをしつつ、慎重に検討を進める必要があります。
IEATによる制度運用は他の機関と比較しても相当程度確立されており、比較的対応は容易ではありますが、それでもなお法令上の解釈等については不明確な部分もありますので、注意が必要です。
まとめ
以上、第2回~第6回まではタイの外資規制についてご説明いたしました。
全体像をご紹介することに重きを置いて、極力細かい部分やニッチな論点は除外し、導入的なご説明となるよう心掛けました。
実は、外資規制に関してはもう一点「ノミニー規制」という、多くの法務実務担当の方が直面される問題がありますが、難しい論点であるため、通常回ではなく、特別回としてどこかのタイミングでご説明できればと思います。
次回に向けて
次回からは、会社機関運営、株式について説明させていただきます。