【入所】当事務所では知的財産高等裁判所長を退官された塚原朋一弁護士を顧問として迎えました
2010/09/13
当事務所では本年8月をもって知的財産高等裁判所長を退官された塚原朋一弁護士(東京弁護士会)を9月10日付で顧問として迎えました。
以下、塚原朋一弁護士が裁判官時代の思い出を綴ったものをご紹介いたします。
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昭和45年4月に裁判官に任官して、40年あまり、これに司法修習生の2年を入れると、ちょうどマラソンと同じ42キロあまり、ひたすら、同じ道を走り続けてきました。担当した事件の数は、大雑把に言うと、多分、1万件。不動産、売掛金、貸金、交通事故などの民事訴訟、離婚、遺産などの人事・家事事件、国賠や行政訴訟、不動産競売、倒産などの非訟事件、保全事件、そして、刑事事件や少年保護事件、ほとんどすべての種類の事件を経験しました。
判事補のときに、ドイツで見た、法廷の弁論の生き生きした有り様は、その後に取り組んだ民事裁判改革の原風景になりました。しかし、たおやかで使い勝手のいい新民訴法ができ、どの裁判官も、普通に、自分の心証を示し、クラクションをならすかのように、強気で訴訟指揮をするようになった様を見ると、自分もジェネリックになってしまったんだ、と思うようになりました。自分の加齢もありますが、次の目標は何かというチャレンジングなものは、もうなくなっていたような気がします。
それでも、1つだけ未知の事件類型がありました。やったことがなくても、何ら、欠損感や恥じる気持ちを感じないですんでいたのが、「無体財産権」でした。その後、いつのまにか、「知的財産権」と改名され、無機質で気むずかしい男性名詞から、優しくしなやかな女性名詞に、生まれ変わっていましたが。
釧路と甲府で所長を3年以上もしていたのに、民事裁判、いや裁判そのものに対する飢餓感がなく、裁判官の地位そのものに対し長年抱いてきた気持ちも失せ始めておりました。そんな中、平成15年の正月気分さめやらぬころ、東京高裁の知財専門部に行くよう、突然、言われたたときは、本当に、ビックリし、ガックリしました。もう普通の民事事件はやれないのか、という気持ちになったのです。
そして、長い、長い、7年半が経過しました。この7年半の間、私は、変わりました。裁判官生活の最後にこんなドラマチックなものが用意されているとは、思いも寄りませんでした。それは、自分だけにしまっておくのはもったいない、おもしろい話で一杯です。是非とも、この欄か、または、全く別な機会に、お話をしたいと思っています。お待ちください。
以下、塚原朋一弁護士が裁判官時代の思い出を綴ったものをご紹介いたします。
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昭和45年4月に裁判官に任官して、40年あまり、これに司法修習生の2年を入れると、ちょうどマラソンと同じ42キロあまり、ひたすら、同じ道を走り続けてきました。担当した事件の数は、大雑把に言うと、多分、1万件。不動産、売掛金、貸金、交通事故などの民事訴訟、離婚、遺産などの人事・家事事件、国賠や行政訴訟、不動産競売、倒産などの非訟事件、保全事件、そして、刑事事件や少年保護事件、ほとんどすべての種類の事件を経験しました。
判事補のときに、ドイツで見た、法廷の弁論の生き生きした有り様は、その後に取り組んだ民事裁判改革の原風景になりました。しかし、たおやかで使い勝手のいい新民訴法ができ、どの裁判官も、普通に、自分の心証を示し、クラクションをならすかのように、強気で訴訟指揮をするようになった様を見ると、自分もジェネリックになってしまったんだ、と思うようになりました。自分の加齢もありますが、次の目標は何かというチャレンジングなものは、もうなくなっていたような気がします。
それでも、1つだけ未知の事件類型がありました。やったことがなくても、何ら、欠損感や恥じる気持ちを感じないですんでいたのが、「無体財産権」でした。その後、いつのまにか、「知的財産権」と改名され、無機質で気むずかしい男性名詞から、優しくしなやかな女性名詞に、生まれ変わっていましたが。
釧路と甲府で所長を3年以上もしていたのに、民事裁判、いや裁判そのものに対する飢餓感がなく、裁判官の地位そのものに対し長年抱いてきた気持ちも失せ始めておりました。そんな中、平成15年の正月気分さめやらぬころ、東京高裁の知財専門部に行くよう、突然、言われたたときは、本当に、ビックリし、ガックリしました。もう普通の民事事件はやれないのか、という気持ちになったのです。
そして、長い、長い、7年半が経過しました。この7年半の間、私は、変わりました。裁判官生活の最後にこんなドラマチックなものが用意されているとは、思いも寄りませんでした。それは、自分だけにしまっておくのはもったいない、おもしろい話で一杯です。是非とも、この欄か、または、全く別な機会に、お話をしたいと思っています。お待ちください。