【入所】広島高等裁判所長官を退官された相良朋紀弁護士を顧問として迎えました
2010/04/09
当事務所では本年2月をもって広島高等裁判所長官を退官された相良朋紀弁護士(第一東京弁護士会所属)を4月1日付で顧問として迎えました。 以下、相良弁護士が裁判官から弁護士になっての思いを綴ったものをご紹介いたします。
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裁判官から弁護士になって
41年近くを裁判官として過ごして、思い出に残る仕事はいろいろありますが、その中でも裁判の関係では労働事件での経験が忘れられません。
裁判官としての私は専ら民事事件に関わりましたが、その中では労働関係事件の解決に携わった期間が比較的長かったこともあって、記憶に深く刻まれています。初めて単独事件を担当したのも、また、初めて裁判長として法廷に入ったのも、いずれも労働事件の専門部であった東京地裁民事19部でした。当時はいわゆる集団的労使紛争が華やかなりし頃であり、法廷の内外で種々の苦労がありましたが、今となっては懐かしい思い出となって甦ってきます。労使関係紛争は、とりわけ時代の変化、社会経済状況の変動によって紛争の実態も変化し、その解決には社会の実情に合致した価値判断が求められるものであります。それだけにこれを解決に導く法曹は、社会の動きに敏感でなければならないという感を強く持ったものでした。
現下の労使関係においては、労働契約の存否、解雇の効力など個別的労働紛争の増加が著しいようです。これに対応して先の司法制度改革で労働審判制度が整備され、紛争の簡易迅速な解決に大いに効果を発揮しております。長引く不況の中で将来が不透明とも言える時代にあって、今後の労使関係はどのような方向に発展していくのか、予断を許しませんが、今弁護士として新たな出発をするにあたって、このような紛争をはじめとする民事紛争の解決に、当事者の側で何らかの力になりたいと願う次第です。