はじめに
2023年会社法(有価証券の目論見書及び割当て)第2改正規則(Companies (Prospectus and Allotment of Securities) Second Amendment Rules, 2023。以下「本規則」という。)によって、非公開会社(private companies)にも株券等の有価証券(以下「株券等」という。)の電子化が義務付けられたところ、その履行期限(多くの場合2024年9月30日(※1))が迫ってきたことから改めて注意喚起を行う。
1. 本規則に基づく義務
本規則の概要はインド最新法令情報(2024年1月号)に記載の通りであり、インドで設立された全ての非公開会社(但し、政府系企業及び小会社(small company)を除く。以下「適用対象会社」という。)は、以下の1. 及び2. を履行する義務を負う。
- 自社の株券等の電子化を推進(facilitate)し、新たに株券等を発行するときは、電子化された形式で発行すること
- 株券等の発行又は買い戻し、ボーナス株式又は株主割当ての発行の募集を履行期限後に実施するときは、当該募集の前に、自社の発起人、取締役及び主要経営者が保有する株券等を全て電子化すること
また、適用対象会社の株券等を保有する者は、以下の1. 及び2. を履行する義務を負う。
- 履行期限後に株券等を譲渡するときは、譲渡前に、譲渡する株券等を電子化すること
- 履行期限後に株券等を引き受けるときは、引受前に、自身が保有する株券等を電子化すること
2. 総括
株券等の電子化への対応に際しては、外国の株主等もインドにおける証券口座の開設、納税者番号(Permanent Account Number)の取得、及び身元確認の履行等が必要となり、これに一定程度の時間を要することが見込まれる。そのため、インドに子会社等を有する日系企業においては、適用対象会社への該当性及び株券等電子化の対応状況を確認のうえ、株券等の電子化が必要にもかかわらず手続きを進めていない場合には、速やかに各種事務手続を進めることが望ましい。
※1 2023年3月31日の時点で適用対象会社に該当する会社は、2024年9月30日までに、本規則が定める義務を履行する必要がある。なお、2023年3月31日以降に小会社でなくなった会社は、小会社でなくなった日の属する会計年度の末日から18か月以内に、本規則が定める義務を履行する必要がある。
以上
TMI総合法律事務所 インド・プラクティスグループ
茂木信太郎/白井紀充/國井耕太郎
info.indiapractice@tmi.gr.jp
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