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【シンガポール】シンガポール取引所(SGX)におけるSPAC上場制度の導入
2021.10.01
はじめに
かねてから注目を集めていたSGXにおける特別買収目的会社(SPAC:Special Purpose Acquisition Company)の上場制度ですが、2021年9月3日から正式に導入されることになりました(注1)。
SGXは、2021年3月31日に、SPACの上場制度案についてパブリックコメントを求めるコンサルテーションペーパーを発行しましたが(注2)、それから半年足らずで当該制度の正式導入が発表されました。
コンサルテーションペーパーに対して寄せられたコメントに対するSGXの回答は、以下のリンクから入手することが可能です。
https://api2.sgx.com/sites/default/files/2021-09/Response%20Paper%20on%20Proposed%20Listing%20Framework%20for%20Special%20Purpose%20Acquisition%20Companies.pdf
SPAC上場制度
SGXのSPAC上場制度は、企業に対して、価格設定及び取引実行の確実性をより担保することのできる新たな資金調達手段を提供することを目的としています。SGXは優良企業の上場案件の獲得を目指しており、審査の一環としてスポンサーの質や実績を重点的に確認することが想定されます。そのため、本制度では、スポンサーの関与を強めるための要件や株主とスポンサーの利益を合致させるための要件が導入されています。
IPOを目指す東南アジア企業が増加している中、SPAC上場は、プライベートエクイティファンドのエグジットの受け皿となることが期待されています。
制度の概要
本制度におけるSPAC上場の主な要件は以下の通りです。
最低時価総額 |
1億5千万シンガポールドル(約123億円) |
De-SPAC期限 |
IPOから24か月以内(但し、一定の条件が満たされた場合には最大12か月の延長が可能) |
売却禁止期間 |
スポンサーの株式については、De-SPAC後6か月間は売却が禁止される(また、De-SPAC後の法人が一定の条件を満たす発行体の場合には、当該発行体の株式の50%について、更に6か月間売却が禁止される) |
最低出資比率 |
スポンサーは、IPO時に、SPACの時価総額によって最低2.5%から3.5%の株式、ユニット又はワラントを引き受けなければならない |
De-SPACの承認 |
De-SPAC取引を進めるためには、独立取締役の過半数及び株主の過半数の承認が必要 |
ワラント |
株主に発行されるワラントは株式から切り離すことが可能 |
償還 |
全ての独立株主の保有する株式について償還権が付与される |
スポンサーに対する対価としての無償(又は廉価)による株式付与 |
IPO時に発行される株式の20%を上限とする |
(注1)https://www.sgx.com/media-centre/20210902-sgx-introduces-spac-listing-framework
(注2)https://www.sgx.com/regulation/public-consultations/20210331-consultation-paper-proposed-listing-framework-special
本稿は、Simmons & Simmons JWS Pte. Ltd.が執筆した記事(https://www.simmons-simmons.com/en/publications/cktoaytoi1a1f0a22uuwevsav/singapore-introduction-of-the-listing-framework-for-spacs)を翻訳したものであり、弊事務所がシンガポール法に関するアドバイスや法的意見を提供するものではありません。