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【中国】【特許】【意匠】審査基準改正案の再公表-1概要速報
2022.11.01
今回の改正案の位置づけ
中国国家知識産権局(CNIPA)は2022年10月31日、専利審査基準の改正案(パブリックコメント再募集稿)を公表しました。今回公表された改正案は、2021年6月1日に施行された専利法の第4回改正に対応するものです。法改正に対応した審査基準の改正については、2020年11月と2021年8月に計2回の改正案公表とパブリックコメント募集が行われ、その後、内部で更なる検討が続けられていました。
今回公表された改正案は、前回の改正案に対し、更なる修正が行われた箇所のみを含むものです。2021年8月に公表された改正案の内容と、今回公表された改正案の内容とを比較すると、実用新案の初歩審査における進歩性の審査、部分意匠出願制度の詳細、コンピュータ関連発明の審査基準など、幾つかの重要な項目が含まれていません。今回の改正案とともに公表された中国知的財産局の説明文書によれば、「今回のパブリックコメント募集の内容は主に、前2回のパブリックコメントで寄せられた意見に対する修正、並びに、専利法及び専利法実施細則の関連規定に合わせた更なる修正である。修正のない箇所については再度のパブリックコメント募集は行わない。」とされており、前回の改正案に含まれていて今回の改正案に含まれていない内容については、前回改正案の内容から大きな変更のない状態で、正式改正に盛り込まれる可能性が高いと考えられます。
今回のパブリックコメント募集期間は、2022年12月15日までとなっています。以下に、今回の改正案に含まれる主な項目をご紹介します。
今回の改正案の主な項目
(1)出願の手続き的事項に関する改正項目
・出願公開のための準備期間を公開前1カ月へと変更し、それに伴う関連手続きの規定も変更。
・優先日から16カ月又は出願日から4カ月以内の優先権主張の追加・補正手続きを規定。
・優先権主張期限から2カ月以内の優先権の回復手続きを規定。
・PCT国際出願の中国国内移行時の優先権の回復手続きを規定(受理官庁としての優先権回復)。
・いわゆる「非正常出願」の却下手続きを規定。
・PCT国際出願の中国国内移行手続きに瑕疵があった場合の通知書発行による救済措置を規定。
・電子出願システムを通じた庁発行文書の送達日は原則として発送日と同日と推定する(郵送等の場合は従来通り発送日に15日を加算した日を送達日とする)。
(2)その他の制度に関する改正項目
・特許・意匠だけでなく実用新案も遅延審査を請求可能とする。意匠については、遅延期間を最長36カ月まで月単位で指定可能とする。遅延審査請求の後日の取消を可能とする。
・特実同日出願制度を利用した場合の特許の審査を4年間遅延するという前回改正案の規定は削除。
・専利証の電子化と印刷費の徴取廃止に対応した関連規定の調整。
・審査遅延による特許期間調整の期間計算の方法を明確化。出願日から4年又は審査請求日から3年のいずれか遅い方までに設定登録がなされなかった場合、審査の遅延期間について特許権存続期間を延長する。期間計算の始点となる出願日を、PCT出願の場合は国内移行日、分割出願の場合は分割出願日とする。出願公開前に審査請求した場合、審査請求日は出願公開日とする。特実同日出願制度を利用した特許出願は、期間調整の対象外とする。
・薬品特許の特許期間延長の条件及び手続きを明確化。
・被疑侵害者による評価報告の請求を認め、必要な証明書類を規定。
・開放式許諾制度の詳細を規定。
(3)意匠審査関連の改正項目
・同一製品の全体意匠と部分意匠を1出願とすることはできないことを明確化。
・ハーグ協定経由での中国出願に対する拒絶通知の応答期限を4カ月とする。
・中国からのハーグ協定を利用した国際意匠出願の手続きに関する規定を新設。
(4)特許審査・審判関連の改正項目
・専利法第5条の「遺伝資源」の定義の補充・明確化。
・コンピュータ等の装置により実施される方法が病気の診断・治療方法に該当するかの判断基準を明確化。
・無効審判における請求人が申し立てた以外の無効理由の職権審理を規定。
・無効審判中の補正は無効理由又は合議体の指摘した問題に対するものに限られることを規定。
・パテントリンケージ制度に関連する無効審判手続きに関する特別規定を追加。
・基礎事実が明確で争点の簡単な審判の口頭審理は合議体ではなく主審員のみで行うとの規定を追加。
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