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【06/16追記】 附則5条に若干の修正のうえ改正公益通報者保護法が成立・公布、体制整備義務付けなど原則2年以内に施行へ
2020.06.12
<2020年6月15日公表>
◆《消費者庁》公益通報者保護制度 - 新着情報・行事案内 -(2020年6月15日)「公益通報者保護法の一部を改正する法律」に関する資料の公表について
<2020年6月12日公布>
◆《インターネット版官報》公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第51号) が公布
※ 直近30日の無料公開期間を過ぎると閲覧できません。
<2020年5月21日修正(衆院委員会採決時)>
◆《衆議院》第201回国会閣法第41号 付託議案関連情報一覧 - 第201回国会閣法第41号 修正案要旨、閣法 第201回国会 41 公益通報者保護法の一部を改正する法律案に対する修正案
<2020年3月6日公表(改正法案閣議決定時)>
◆《消費者庁》国会提出法案 - 第201回国会(常会)提出法案 - (令和2年3月6日)公益通報者保護法の一部を改正する法律案
※ 本改正法は、令和2年6月12日法律第51号として公布されました。
<2020年3月10日掲載>
公益通報者等の範囲の拡大、事業者の必要な体制の整備等を図る公益通報者保護法改正案が国会提出されました
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近藤圭介弁護士・花渕悠果弁護士のコメント
従業員数が300人超の事業者には、内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備が義務付けられました(従業員数が300人以下の事業者には、努力義務が課せられています)。改正法は、2022年6月までに施行される見通しですので、それまでに体制を整備していくことが必要です。改正の重要点を取りまとめてご紹介すると、次のとおりです。
▶ 通報者等の範囲
☛ 公益通報者の範囲に、退職者(退職後1年以内)や役員を追加。
☛ 通報対象事実の範囲に、行政罰(過料)の対象とされている事実を追加(現行法は刑事罰の対象とされている事実のみ)。
▶ 不利益取扱いの禁止
☛ 行政機関に対する、(通報対象事実が生じると信じるに足りる相当の理由まではなくとも)通報者の氏名等を明らかにした通報も保護される旨追加。
☛ 報道機関等に対する、①通報者を特定させる情報が漏れる可能性が高い場合、②(生命・身体に限らず)財産に対する損害が発生する場合の通報も保護される旨追加。
☛ 役員が公益通報を理由に解任された場合は、事業者に対し、解任により生じた損害の賠償を請求できる。
☛ 事業者は、公益通報者に対し、賠償請求できない。
▶ 事業者がとるべき措置
☛ 公益通報対応業務従事者の設置(常時使用する労働者数が300人以下の場合は、努力義務)
☛ 内部通報制度の整備(常時使用する労働者数が300人以下の場合は、努力義務)
☛ 公益通報対応業務従事者の秘密保持義務
▶ 施行日
2020年6月12日に公布され、また、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すると定められています(附則1条)。
■ 参考(消費者庁ホームページ)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/whisleblower_protection_system/overview/#012
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公益通報者保護法の一部を改正する法律が6月8日、参議院本会議において可決・成立し、同月12日、令和2年法律第51号として公布されました。衆議院の審議では全会一致をもって修正可決されており、政府に対し改正法の施行後3年を目途として検討および必要な措置を講じることを求める附則5条に修正が加えられています(詳細は上掲のリンクからご参照ください)。改正法は一部を除き、公布日から2年内の政令指定日に施行されます。
公益通報者保護法(平成16年法律第122号)の制定・公布から15年が経過するにもかかわらず、近年も社会問題化する事業者の不祥事が後を絶たないことから、改正法では 1)公益通報者および通報対象事実の範囲の拡大、2)公益通報者の保護の強化、3)事業者に対して公益通報に適切に対応するために必要な体制の整備等の義務付けを図ることとしました。
たとえば、上記3の観点から事業者は、①労働者・役員からの公益通報を受け、その通報対象事実の調査をし、その是正に必要な措置をとる業務への従事者たる「公益通報対応業務従事者」を定めるほか(改正後の公益通報者保護法11条1項)、②労働者・役員による公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならないこととされています(同条2項)。①・②の規定に関し、常時使用する労働者の数が300人以下の事業者については努力義務とされました(同条3項)。
これらの規定に基づき事業者がとるべき具体的な措置については、政府が「その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」を定めるものとされています(11条4項等)。また政府は、これらの規定の施行に関して必要があると認めるときは、事業者に対して報告徴求または助言・指導もしくは勧告をすることができるとするとともに(15条)、勧告に従わない場合にはその旨を公表することができるようになりました(16条)。
上記①の「公益通報対応業務従事者」等に対しては公益通報者を特定させる情報を漏らしてはならないとされており(12条)、違反した場合には30万円以下の罰金に処するとする罰則も設けられています(21条)。