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賃貸借契約の交渉上の留意点
2020.09.08
TMI総合法律事務所では、2020年初頭から、新型コロナウイルス感染症への対応を分野ごとにまとめたシリーズ【コロナウイルス対応Q&A】を公表して参りました。また、昨今においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大だけでなく、その予防策としての新しい生活様式が、社会の様々な部分に変化を及ぼしており、企業法務の分野においても同様です。
そこで、こうした変化にいち早く対応し、クライアントの皆様のために最良のリーガルサービスを提供すべく、各分野の専門家を中心に、企業法務の分野において主に問題となるテーマの一部をQ&A方式でまとめさせて頂きましたので、是非ご活用いただければ幸いです。
【Q】
建物賃貸借契約により賃借している店舗にて、売上が激減しています。法律上、店舗の賃料の減額または猶予を得ることはできるのでしょうか。
【A】
①賃料の減額について
賃貸借契約に、感染症・伝染病が発生した場合に関する条項がなければ(そのような条項のない契約が大多数と思われます)、法律上は、減額は基本的に困難ですが、借地借家法に基づく賃料減額請求をすることが選択肢になります。なお、定期建物賃貸借契約では、「賃料減額請求ができない」という条項を設けていることが多いところですが、当該条項にかかわらず、経済情勢の大幅な変更により、当事者の衡平に資するなど特段の事情がある場合には、賃料の減額が認められる余地もありますので(「事情変更の原則」)、これらを背景として、まずは賃貸人と任意の交渉をすることになると思われます。
②賃料の猶予(弁済期の延期)について
国土交通省が賃料の猶予を要請していますが、(①の賃料減額が認められない場合において)法律上、賃借人に、賃料の猶予を一方的に決定する権利はありませんので、賃貸人からの、賃料の猶予(及び猶予後の分割払い)の同意を得る必要があります。