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育児・介護休業法の改正-介護休業の取得要件の緩和(2022年4月1日~)-
2022.02.01
育児・介護休業法の改正(2021年6月)
2021年6月に「育児・介護休業法」が改正されました。
主な改正点は「育児」休業に関するものですが、今回は「介護」休業に関する改正に焦点をあてたいと思います。
介護休業とは
介護休業とは、労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業で、育児・介護休業法により一定の要件を満たす場合に認められるものです。
※対象家族とは、配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母、をいいます(以前は祖父母、兄弟姉妹、孫について「同居かつ扶養していること」という要件がありましたが、2017年に廃止されました)。
※介護休業の詳細については厚生労働省のHP「介護休業について」などがわかりやすく、参考になります。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/closed/index.html
そして今回の改正により、2022年4月1日から、「有期雇用労働者」の介護休業の取得要件が緩和されることになりました。
育児・介護休業法とは
育児・介護休業法とは、正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。
少子高齢化が進む日本では、出産・育児をしやすい社会の整備が必要不可欠であり、また、介護をしながらでも仕事を続けられる仕組みを作ることが大切です。
そこで、育児・介護のための支援の制度を定めるために制定されたものが、育児・介護休業法です。
※厳密にいえば、単独の法律として育児休業が定められた1992年施行の育児休業法が、数度の改正を経て、現在の育児・介護休業法となっています。
改正内容
今回の改正により、2022年4月1日から、有期雇用労働者の介護休業の取得要件が緩和されます。
具体的には、これまで有期雇用労働者が介護休業を取得するためには、申し出の時点で、①過去1年以上その事業主に継続して雇用されていて、かつ、②介護休業の取得開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに雇用契約が満了することが明らかでないことが必要とされていましたが、①の要件が廃止され、②の要件だけで良いことになりました。
改正前 |
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改正後(2022年4月1日~) |
介 護 休 業 |
介 護 休 業 |
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申し出の時点で、以下の要件の両方を満たす場合に介護休業が取得できる |
➡ |
申し出の時点で、②のみ満たせば介護休業が取得できる(①は廃止) |
これは、育児休業・介護休業の取得しやすさについて、雇用形態間の差を小さくすべきという声の高まりを受けたものです。
なお、介護休業の取得開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その時点の労働契約の期間は満了するとしても、更新がないことが確実である場合を除き、介護休業取得の申し出が可能とされています。
※育児休業についても同様に、申し出の時点で「①過去1年以上継続して雇用されていること」という要件が廃止され、「②子が1歳6か月になるまでの間に雇用契約が満了することが明らかでないこと」という要件だけになりました(2022年4月1日~)。
参考 ―その他の改正点―
なお、上記では介護の点をメインに説明しましたが、その点も含め、2021年6月の育児・介護休業法の改正点・改正内容の概要は、以下のとおりです。
≪2021年6月改正の概要≫(2022年4月1日から段階的施行)
育 児 休 業 |
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2022年4月1日施行 |
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育児休業を取得しやすい雇用環境整備および妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け |
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有期雇用労働者の育児休業取得要件の緩和 |
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2022年10月1日施行 |
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男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み(出生時育児休業、通称「産後パパ育休」)の創設 |
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育児休業の分割取得 |
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2023年4月1日施行 |
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育児休業の取得の状況の公表の義務付け |
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介 護 休 業 |
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2022年4月1日施行 |
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有期雇用労働者の介護休業取得要件の緩和(上記で説明したもの) |
さいごに
本稿で述べたとおり、有期雇用労働者の介護休業の取得のための要件のうち、継続雇用1年以上という法律上の要件が廃止されたことにより、労使協定を締結していない事業所では、有期雇用労働者にとっては介護休業を取得しやすくなりました。介護に従事する有期雇用労働者は多く存在すると思われるため、この要件緩和は大変意味のあるものと考えられます。
各社で就業規則の改訂も必要となりますので、ご確認を頂ければと存じます。