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特許ブログ【海外情報】各国特許最新レポート
2022.05.06
特許に関し各国の注目すべき最新状況を発信致します。2022年4月の注目情報は以下の通りです。
米国特許商標庁(USPTO)
米国特許商標庁(USPTO)の新長官の就任について (April 22,2022)
2022年4月22日付でUSPTOより新しい長官の就任が発表されました。新しい長官には、昨年10月にBiden大統領に商務省知財担当次官兼 USPTO長官に指名されたKathi Vidal氏が、米国連邦議会上院の承認を経て新たに就任しております。
Vidal氏はトップクラスの訴訟弁護士として豊富な訴訟経験を有するとともに、テクノロジー、法律、政策における女性リーダーのネットワークであるChiefs in Intellectual Property(ChIPs)にて活躍されており、新長官に対する各関連団体からの期待も高いとのことです。
■ Kathi Vidal | USPTO
■ USPTO Welcomes New Director Kathi Vidal | USPTO
欧州特許庁(EPO)
2021年 特許等の統計等を含む報告の発行(April 5,2022)
欧州特許庁(EPO)より昨年度EPOに出願された特許等の統計等を含む報告(Patent Index 2021)の発行がアナウンスされました。
■ 出願件数
Patent Index 2021によれば、EPOへの特許出願件数は、2020年に前年比-0.6%とわずかに落ち込んだ特許出願件数が2021年には前年比+4.5%と大幅に回復したことが報告されております。また、EPOの出願件数は、10年前の2012年、5年前の2017年と比較しても増加しております。
参考までにWIPOの統計データによりますと、米国、中国、韓国の特許庁に対する2020年の出願件数は2012年及び2017年との比較においていずれも増加しているのに対し、日本、ドイツの特許庁に対する2020年の出願件数は2012年及び2017年との比較においていずれも減少しております。
■ 技術分野
技術分野別での出願件数のトップ5はDigital communication (15400件:前年比+9.4%)、 Medical technology (15321件:+0.8%)、Computer technology (14671件:+9.7%)、Electr. Machinery, apparatus, energy(1205件:+5.7%)、Transport (9399件:+4.5%)であり、IT系の特許出願が件数・増加率ともに高い数字となっております。このうち、Digital communicationの出願人のTOPは、HUAWEI、ERICSSON、QUALCOMM、SAMSUNG、OPPO、NOKIA、ZTEの順であり、昨月USPTOより発表された5G技術の発展に関する特許活動の報告書にて示された最もアクティブな6企業(Qualcomm, Huawei, Nokia, Ericsson, Samsung, LG, ZTE)ともほぼ一致する結果となっております。
全技術分野において、前年比増加率が特に高い技術は、Audio-visual technology、Semiconductors(以上、Electrical engineering)、Micro-structural and nano-technology(Chemistry)となります。
■ Welcome to the Patent Index 2021 | EPO
ドイツ特許商標庁(DPMA)
PCT国内(ドイツ)移行期限の変更について(March 16, 2022)
ドイツ特許商標庁(DPMA)よりPCTの国内移行期限が30カ月から31カ月に変更される旨がアナウンスされております。当該変更は2022年5月1日より有効になります。詳細は以下のHPをご参照下さい。
韓国特許庁(KIPO)
特許法の一部改正について(April 20, 2022)
韓国特許庁(KIPO)より特許法の一部改正についてアナウンスされました。当該改正法は2022年4月20日より施行しております。
■ 分離出願(Separational Application)制度の導入(特許法第52条の2等)
拒絶査定不服審判の拒絶審決(請求不成立審決)の謄本の送達日から30日以内に、その拒絶査定において拒絶されなかった請求項等を記載した分離出願をすることができるという制度が導入されました。
■ 拒絶査定不服審判等の請求期間の延長(特許法第132条の17等)
拒絶査定または存続期間延長登録出願の拒絶査定に対する不服審判請求期間、及び再審査請求期間が30日から3ヶ月に延長されました。
■ 出願人の救済要件の緩和(特許法第16条等)
特許権の回復手続等に係る救済要件が「責めに帰することができない理由」から「正当な理由」に緩和されました。
■ 分割出願の優先権主張の自動認定制度の導入(特許法第52条等)
原出願が適法な優先権主張を伴って行われた場合は、その分割出願について自動的に優先権が認められることになりました。
■ 競売等より特許権の持ち分を喪失された共有者の実施による通常実施権の付与(特許法第122条等)
特許権者(共有に係る特許権を分割請求した場合には分割請求をした共有者を除く残りの共有者をいう)は、共有に係る特許権の分割請求以前にその特許発明を実施している場合に、その特許権が競売等により移転されても、その特許発明に対して通常実施権を有することとなりました。
■ 国内優先権主張対象の拡大(特許法第55条)
先の出願についてその出願日から1年以内に特許査定がなされても、設定登録前であれば、その先の出願に基づいて国内優先権を主張できるようになりました。
■ 특허청 (kipo.go.kr)
■ 특허법 일부개정법률안
中国国家知的産権局(CNIPA)
国際意匠登録出願の業務開始のお知らせ(April 25, 2022)
中国のハーグ協定への加盟の効力が5月5日を以って発生されます。これに際し、中国国家知的産権局(CNIPA)はハーグ協定に基づく国際意匠登録出願がスムーズに行われるよう、「ハーグ協定加盟後の関連業務処理に関する暫定措置(第481号)」を公表し、国際意匠登録出願の電子出願システムを立ち上げた旨がアナウンスされました。中国のハーグ協定加盟により、国際意匠登録出願の件数が大幅に増加することが予想されます。
弁理士 都野 真哉
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