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特許庁政策推進懇談会の報告書
2022.06.30
はじめに
特許庁は、今後の更なる知的財産制度改善に向けて、知的財産制度に関する諸課題を検討するため、有識者を構成員とする特許庁政策推進懇談会を立ち上げ、令和4年4月28日より議論を行ってきました。本懇談会は、非公開で行われてきましたが、本日(令和4年6月30日)、本懇談会で行われた議論の報告書に相当する「知財活用促進に向けた知的財産制度の在り方~とりまとめ~」が公表されましたので、ここにご紹介いたします。
各論点
本報告書の3頁の目次を見ていただければわかるとおり、本懇談会で検討がなされた論点は多岐に渡ります。
例えば、特許に関連する論点としては、「1.AI、IoT時代に対応した特許の『実施』定義見直し」、「7.懲罰的損害賠償/利益吐き出し型損害賠償」、「8.損害賠償の過失推定規定」、「9.ライセンス促進策の検討」、「10.共有特許の考え方の見直し」、「12.一事不再理の考え方の見直し」などがあります。また、商標に関連する論点としては、「4.コンセント制度の導入」、「5.他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」、「6.(メンバー御提案)商標の品質保証機能について」、さらに、意匠に関連する論点としては、「2.意匠の新規性喪失の例外適用手続」、「3.NFT化した画像データの意匠権保護」などです。
いずれの論点についても、本報告書に、問題意識、検討の方向性、懇談会メンバーのご意見等が記載されており、最先端の論点について現状と課題が整理された資料であると思われます。ご関心がある論点について読んでみてはいかがでしょうか。
今後について
本懇談会において、引き続き検討が必要と整理された論点については、産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会、同商標制度小委員会、同意匠制度小委員会等で引き続き検討がなされ、立法に向けての議論がなされるものと思われます。本報告書72頁「Ⅲ.まとめ」には、各論点につき簡潔にまとめられておりますが、ここを読んでいただければ、各論点の今後の検討の方向性はある程度把握できると思います。例えば、特許の「実施」定義見直しについては、「現行制度の解釈の限界にも留意しつつ、具体的な法改正の在り方について検討を深める必要がある。」とまとめられており、引き続き、特許制度小委員会などで検討がなされる可能性が高いと思われます。
最後に
弊職は、本懇談会メンバーとして本懇談会における議論に参加をさせていただきましたが、各方面でご活躍の有識者たちが幅広い観点から議論をされており、また、知的財産制度をより良くしていこうという皆さんの熱い想いを感じることができる大変貴重な場でした。
特許制度小委員会の委員も拝命しておりますので、本報告書に掲げられた論点を含む法改正の動向について、また、引き続きこのブログでご報告ができればと思います。
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