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【マレーシアブログ(速報)】雇用法の改正
2022.07.04
はじめに
2022年9月1日より、Employment (Amendment) Act 2022(以下「雇用法改正法」といいます。)が施行され、Employment Act 1955(以下「現行雇用法」といいます。)が改正されることが発表されましたので、マレーシアブログ速報版としてご案内致します。
雇用法改正法の概要
先月、マレーシア人的資源省(“Ministry of Human Resources”)のサラバナン・ムルガン大臣は、2022年3月に連邦議会にて可決された雇用法改正法が、2022年9月1日より施行され、現行雇用法が改正されることを明らかにしました。労働者に対する一定の保障を定めるマレーシアの雇用法は、1955年に制定され、2012年に改正されて以降、約10年ぶりの改正となります。
雇用法改正法における主なポイントは、以下のとおりです。
・週の労働時間上限の48時間から45時間への短縮
・外国人労働者雇用の際の労働局からの事前承認の取得義務の導入
・雇用における差別に関する労働局長の調査・裁定権限の導入
・セクシャルハラスメントに関する認識を高めるための通知の掲示義務の導入
・フレックス勤務制度の導入
・出産休暇日数の60日から98日への延長
・妊娠中の従業員の解雇制限の導入
・既婚男性労働者の出産休暇の導入
付則の改正
現行雇用法では、適用範囲が限定されており、①使用者との間で1か月当たりの賃金が2,000リンギット(約6万円)以下の雇用契約を締結した者並びに②肉体労働者、その管理監督者及び家事使用人等のみが適用対象となっています。
この点、現行雇用法の適用範囲は、同法の付則1(First Schedule)に定められており、サラバナン大臣が9月1日の雇用法改正法の施行に向けて付則1の変更点を慎重に検討している旨を明らかにしていることから、雇用法の適用範囲が拡大されるとの見方が強まっています(なお、現行雇用法の付則1は主務大臣の命令によって変更できることから、連邦議会による法律の改正手続を経る必要はありません。)。
他方で、雇用法の適用範囲の拡大は一部の項目に限定されるとの見解もみられるため、施行日における付則1の改正内容については、今後の動向を注視する必要があります。
実務対応
現段階においては、付則1の改定内容が定まっておらず改正後の雇用法の適用範囲が明らかではありませんが、付則1の改正内容にかかわらず、マレーシアに進出されている日本企業としては、雇用契約書や就業規則に定められている労働条件の見直しを検討する必要があると考えられます。
具体的には、雇用法改正法による労働時間の見直しや女性労働者に対する待遇の改善などにより、雇用契約書や就業規則に定められている労働条件が改正後の雇用法よりも不利な条件となる場合には、これらの書面の変更が必要となりますので、早めのご対応をお勧めいたします。
マレーシア・プラクティスグループ