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特許ブログ【海外情報】各国特許最新レポート
2022.10.13
特許に関し各国の注目すべき最新状況を発信致します。2022年9~10月の注目情報は以下の通りです。
米国、米国特許商標庁(USPTO)
(1)医薬品等関連特許の特許期間延長に関する情報(リスト)について
USPTOのHPにて、特定の人間用医薬品、食品若しくは着色添加物、又は、医療機器、動物用医薬品、及び獣医用生物学的製品に関する特許の期間延長を規定した35 U.S.C. § 156(APE: Applications for patent term extension)について、特許期間が延長された特許の情報が開示されております。当該情報の対象は下記i)ⅱ)であり、今後四半期毎にアップデートされる予定です。
なお、今回の情報開示は、USPTO長官Vidal氏の2022年7月6日付米国食品医薬品局(FDA)への書簡にて提案した事項に関連する対応となります。
i)List of applications for patent term extension
過去5年以内に提出された特許期間延長出願のリスト。各件のステータスについてはPatent Center(USPTOの特許データベース)で確認することが可能です。
ⅱ)List of patent terms extended under 35 U.S.C. § 156
特許期間が延長された特許のリスト
■ Applications for patent term extension and patent terms extended under 35 U.S.C. § 156 :USPTO (各リストへのリンクあり)
■ Manual of Patent Examining Procedure (MPEP) section 2750 (特許期間延長)
(2)USPTO パイロットプログラム(Fast-Track Appeals Pilot Program、AFCP 2.0)期間延長について
USPTOは下記2つのパイロットプログラムの期間延長を発表しております。
i)Fast-Track Appeals Pilot Program (2022年7月2日 → 2024年7月2日まで延長)
Fast-Track Appeals Pilot Programは、ex parte appeals(日本における拒絶査定不服審判に相当する審判)において早期審理を申請できる制度となります(申請費用はUSD 420)。現在平均審理期間は約12カ月(2020年は約15カ月、2015年は約30カ月)ですが、本制度を利用することにより申請が認められてから6カ月以内に結果がでることを目標に審理が進められます。
■ USPTO announces second extension of the Fast-Track Appeals Pilot Program through July 2, 2024
■ Fast-track appeals pilot program:USPTO
■ What are ex parte appeals?: USPTO
ⅱ)AFCP2.0(2022年9月30日 → 2023年9月30日まで延長)
AFCP2.0 ((After Final Consideration Pilot 2.0 Program)は、Final Rejectionへの応答に対し、審査官に追加のサーチ及び検討時間を与えるための制度となります。
AFCP2.0は初代AFCPをアップデートした制度となりますが、2014年より現在まで毎年期限が更新されております。
■ AFCP2.0とは
Final Rejection対応時、新たな争点(new issue)が追加された補正を行う場合には、継続審査請求(RCE:Request for Continued Examination)の提出が必要となります。米国では、日本と異なり、Final Rejectionに対しRCEを提出することで繰り返し審査を継続させることが可能です。しかし、RCEの庁費用は高額(1回目:USD1,360、2回目:USD2,000(Oct 2022))であり、出願人の大きな負担にもなっております。
本制度は、申請のための庁費用が無料であり、追加のサーチ及び検討時間(特許は3時間)の範囲内で審査官が(新たな争点が追加された)補正後のクレームを特許可能と判断した場合には、RCEの提出を不要とする制度となります。
■ After Final Consideration Pilot 2.0:USPTO
ベトナム国家知的財産庁(IP Vietnam)
(1)知的財産法の改正について
ベトナム知的財産法(2005年公布、2009年一部改正)の改正法案が2022年6月16日ベトナム国会で可決成立しました。修正された知的財産法は、Sound Mark等の一部を除き2023年1月1日に発効予定です。知的財産法の特許(Patent)及び実用新案(Utility solution)に関する追加、改定も広範であり、主な改正点は以下となります。
・秘密発明(Confidential Invention)の規定の追加
・発明の新規性(日本における拡大先願)規定の追加
・安全保障管理規定(第一国出願義務(Foreign filing license))の追加
・遺伝子資源及び遺伝子資源の伝統的知識に関する規定の追加
・試験データの秘密保持義務に関する規定の追加
(2)ベトナム国家知的財産庁への出願状況(特許)
国家知的財産庁発表(特許)に関する出願状況等に関するデータは以下の通りです。
・出願件数(2020年):総数 7694件(内国民1020件、在外者6674件)
・出願人上位(国)(2020年):JP(1720件)、VN(1505件)、CN(1148件)、KR(1080)、US(1023件)
・特許出願上位分野(IPC)2020年度:
A01(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)→ 703件
A23(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)→ 585件
A61(医学または獣医学;衛生学)→ 3549件
C07(有機化学[2])→ 1451件
G06(計算または計数)→ 683件
H01 (基本的電気素子)→ 897件
H04 (電気通信技術)→ 2921件
Source:
■ IP Annual Report 2020 : INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE OF VIETNAM.
欧州 統一特許裁判所(EU Unified Patent Court;UPC)
(1)統一特許裁判所の開始予定について
欧州連合(EU)の統一特許裁判所(UPC:Unified Patent Court)のホームページが2022年10月6日にアップデートされ、統一特許裁判所協定(UPCA:Unified Patent Court Agreement)の発効予定につきロードマップが更新されております。本ロードマップでは統一特許裁判所協定の発効までのマイルストーンが掲載されており、ドイツの協定批准の寄託が本年12月、統一特許裁判所協定の発効が2023年4月1日と予定されております。
実際に統一特許裁判所協定が本ロードマップに従って発効される場合、サンライズ期間※の開始が2023年1月1日となります。
※ 「サンライズ期間」とは
統一特許裁判所協定では運用開始後の移行期間(7年間(14年間まで延長の可能性あり))において、欧州特許の出願人及び特許権者は、その裁判管轄を統一特許裁判所(UPC)の裁判管轄下に置くことを希望しない場合、自身の欧州特許及び欧州特許出願について、UPCAの適用除外(オプトアウト)を受けることができます。オプトアウトを行うことで、自身の欧州特許が単一効特許(UP:Unitary Patent)ではなく従前の欧州特許と同様に扱われることとなり、その裁判管轄が欧州特許を有効化(validation)した国の裁判所のみとなります。
サンライズ期間は、統一特許裁判所協定発効前に、UPCAの適用除外を求めるオプトアウトの申請が可能となる期間となります。サンライズ期間はUPCA発効前3カ月となります。
Source:
■ Latest state of play in view of the launch of the Unified Patent Court :Unified Patent Court
■ Implementation roadmap(PDF):Unified Patent Court
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