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【中国】【統計】2022年の知的財産権取得状況(速報)
2023.02.09
中国国務院は、2023年1月16日(月)に、2022年の知的財産権取得・保護状況に関するデータを公表する記者発表会を開催しました。今回公表されたデータは速報値であり、正確な統計結果は、夏頃に公表される「2022年知的財産権統計年報」で確定されます。
速報値によれば、特許の登録件数は2021年より増加しましたが、実用新案・意匠・商標の登録件数は減少しています。これには、知的財産局が近年注力している不正出願対策の影響があると思われます。また、いずれの権利種別についても出願件数は公表されませんでしたが、出願件数は記者発表会では公表されず、「公報」発行時に初めて明らかにされるのが、ここ数年の知的財産局の進め方です。
特許については、審査期間が16.5カ月(2021年は18.5カ月)へと大幅に短縮されました。また、特許出願の審査結果の、米国・欧州・日本特許庁のファミリー出願の審査結果との一致率が90%に達したことが、非常に重要な指標として紹介されたことも注目に値します。
意匠については、2021年5月にハーグ協定に加盟したことにより、2021年に中国出願人が行った国際意匠出願は合計1,286件でした。
マドプロ経由での中国からの商標出願は、昨年に続いて減少傾向にあります。
更に、今回の記者発表会では、2023年1月11日に知的財産局が導入した新システムについても説明されました。新システムは、特許、実用新案、意匠、PCT、ハーグ出願等をワンストップで手続き可能な電子出願システムであり、各種支払い手段による費用納付も可能です。また、携帯電話等のモバイル端末からの処理にも対応しているとのことです。
当日公表されたデータの詳細は、以下の表をご参照ください。
●2022年の知的財産権取得状況
権利種別 | 項目 | 2022年 | (参考)2021年* |
特許 | 出願件数 | 未公表 | 158.6万件 |
登録件数 | 79.8万件 | 69.6万件 | |
有効登録件数(累積) | 421.2万件 | 359.7万件 | |
人口1万人あたりの高価値特許保持件数*** | 9.4件 | 7.5件 | |
高価値特許出願の審理期間 | 13カ月 | 13.3カ月** | |
特許出願の審理期間 | 16.5カ月 | 18.5カ月** | |
実用新案 | 出願件数 | 未公表 | 285.2万件 |
登録件数 | 280.4万件 | 312.0万件 | |
意匠 | 出願件数 | 未公表 | 80.6万件 |
登録件数 | 72.1万件 | 78.6万件 | |
商標 | 出願件数 | 未公表 | 945.0万件 |
登録件数 | 617.7万件 | 773.9万件 | |
有効登録件数(累積) | 4267.2万件 | 3532.3万件 | |
商標の審査期間 | 4カ月 | 4カ月** | |
国際出願 | PCT出願件数 | 7.4万件 | 7.3万件 |
ハーグ協定国際意匠出願出願(中国国内出願人) | 1,286件 | NA | |
マドプロ出願件数(中国国内出願人) | 5,827件 | 5,928件 |
*2021年データの出典は知的財産局「2021年知的財産権統計年報」による。
**2021年の審査期間のデータの出典は知的財産局等の記者発表による。
***高価値特許とは、戦略的新興産業領域の特許、海外にファミリーを有する特許、維持年数10年以上の特許、比較的高額な質権設定・融資金額を実現した特許、国家科学技術賞・中国専利賞を受賞した特許を意味しており、2021年9月に公表された「知的財産強国建設綱要」では、2025年までに人口1万人あたり12件の高価値特許を保有することが目標とされています。
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