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特許ブログ【海外情報】米国特許商標庁(USPTO)の近況
2024.10.10
各国特許最新レポート
特許に関し各国の注目すべき最新状況を発信いたします。
米国特許商標庁(USPTO)の近況
AFCP 2.0 廃止について
USPTOの公式ページにて、最終拒絶(Final Rejection)の応答時に利用されていたAFCP 2.0 (After Final Consideration Pilot Program 2.0)制度が、2024年12月14日付で廃止されることがアナウンスされております(詳細は、下記USPTOのリンクをご参照ください)。
2024年12月14日以降、AFCP 2.0の申請はできなくなりますので、現在米国案件でFinal OA対応を検討されている方はご留意ください。
なお、本制度は2013年5月19日に前身であるAFCPに修正を加えた制度であり、おおむね一年単位で試行期間が延長されておりました。一方、本制度は庁費用が無料の制度でしたが、近年USPTOの費用負担が増加しており、これが廃止の一因とされております(詳細は、下記Federal Register noticeをご参照ください)。
■ AFCP2.0とは
Final Rejection対応時、新たな争点(new issue)が追加された補正を行う場合には、継続審査請求(RCE:Request for Continued Examination)の提出が必要となります。米国では、日本と異なり、Final Rejectionに対しRCEを提出することで繰り返し審査を継続させることが可能です。しかし、RCEの庁費用は高額(1回目:$1,360、2回目:$2,000(October 1, 2024))であり、出願人の大きな負担にもなっております。
本制度は、申請のための庁費用が無料であり、追加のサーチ及び検討時間(特許は3時間)の範囲内で審査官が(新たな争点が追加された)補正後のクレームを特許可能と判断した場合には、RCEの提出を不要とする制度となります。
Source:
■ After Final Consideration Pilot Program 2.0:USPTO
■ 関連 Federal Register notice
Fee Scheduleの変更案について
本年(2024年)4月にUSPTOより2025年度の料金改定案が発表されております。
今回の料金改定案は非常に大きなインパクトを持ち、特に継続審査請求(RCE)の提出費用が大幅に変更されております。例えば、現状でも2回目のRCEの庁費用は$2000(2024/10時点で約30万円)と高額ですが、2回目以降料金の変動はありません。しかし、改訂案では2回目のRCEが$2,500、3回目以降のRCEが$3,600(2024/10時点で約54万円)となり、出願戦略に与える影響が大きいと予想されます。
主な改訂項目(案)
・クレーム超過費用(クレーム数が20を超えた場合に追加される1つのクレーム当たりの費用)
現在:$100 → 改定案:$200(Small:$40→$80、Micro:$20→$40)
・庁期限の延長費用(元の期限から3カ月延長した場合の費用)
現在:$1,480 → 改定案:$1,555(Small:$592→$622、Micro:$296→$311)
・継続審査請求(RCE)
1回目… 現在:$1,360 → 改定案:$1,500(Small:$544→$600、 Micro:$272→$300)
2回目… 現在:$2,000 → 改定案:$2,500(Small:$800→$1,000、Micro:$400→$500)
3回目以降… 現在:$2,000 → 改定案:$3,600(Small:$800→$1,440、Micro:$400→$720)
Source:
■ Proposed patent fee changes for fiscal year 2025:USPTO
特許期間調整の再考を求める申請の必要性について
USPTOより、2024年3月19日~7月30日の間に発行された特許について特許期間調整(PTA:Patent Term Adjustment)の計算が誤っている可能性があることが警告されております。
USPTOより提示された調整期間に誤りがある可能性は上記の期間内に発行された特許の約1%とのことです。今回のエラーはUSPTOがPTAの計算に使用しているコンピュータプログラムの不備(コーディングエラー)が原因であると説明されております。
USPTOによる特許期間の調整は、主に、USPTOによる審査遅延の補償(A Delay:35 U.S.C. 154(b)(1)(A))、出願継続期間が3年を超過した際の補償(B Delay:35 U.S.C. 154(b)(1)(B))、インタ-フェアレンス等に要した遅延等の補償(C Delay:35 U.S.C. 154(b)(1)(C))、及びこれらの重複(Overlap:35 U.S.C. 154(b)(2)(A))に基づき計算されますが、今回調整期間の誤りがある可能性のある箇所はA Delay及びOverlapに基づくものとなります。
今回のエラーに影響のある特許については、PTA(特許期間調整)の決定に対し、その見直しを申請する必要があります(37 CFR 1.705(b))。申請期限は特許付与日から2ヶ月ですが、特許付与日から7ヶ月まで延長が可能です。なお、期限内に申請が行われない場合には、USPTOはPTA決定の再考を行わないと通知しています。
製薬業界をはじめ、特許期間の調整は非常に重要です。また、特許付与日が3月19日の特許については、PTA決定対する見直し申請の期限が2024年10月中に到来します。対象となる期間に付与された特許につきまして特許期間の調整に誤りがないかご留意ください。
Source:
■ Coding Error Impacting:USPTO
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