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電子契約の導入上の留意点
2020.09.08
TMI総合法律事務所では、2020年初頭から、新型コロナウイルス感染症への対応を分野ごとにまとめたシリーズ【コロナウイルス対応Q&A】を公表して参りました。また、昨今においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大だけでなく、その予防策としての新しい生活様式が、社会の様々な部分に変化を及ぼしており、企業法務の分野においても同様です。
そこで、こうした変化にいち早く対応し、クライアントの皆様のために最良のリーガルサービスを提供すべく、各分野の専門家を中心に、企業法務の分野において主に問題となるテーマの一部をQ&A方式でまとめさせて頂きましたので、是非ご活用いただければ幸いです。
【Q】
当社ではCOVID-19を機に電子契約を導入しようと考えていますが、導入にあたっての留意点を教えてください。
【A】
電子契約の導入にあたっては、契約締結権限の確認フロー・社内稟議フローの改定、契約雛形の修正、文書管理規程・印章管理規程等の改定及び電子帳簿法に準拠した電子データの保存等を実施する必要があります。加えて、電子契約導入の対象契約が外国法を準拠法とする場合には、当該準拠法が電子契約の成立等について、どのような規定を設けているのかに留意する必要があります。
【Q】
電子契約により締結した契約に関する訴訟において、電子契約に係る電磁的記録を証拠として適切なものとするために留意する事項はありますか。
【A】
電子契約により締結した契約についても、電子署名法第3条の要件を満たす場合は、当該契約に係る電磁的記録の真正な成立の推定が働きます。一方、同条の要件を満たさない場合であっても、適切な機能を有している電子契約システムを導入することにより、電子契約に係る電磁的記録の成立の真正を立証することは可能です。ただし、電子署名法第3条の適用有無にかかわらず、別途、相手方に契約締結権限があるかについては問題となるため、無権代理による無効リスクを回避するためには、事前に相手方の契約締結権限を確認するなどの対策が必要となります。