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ハイブリッド型バーチャル株主総会の導入に関する留意点
2020.09.08
TMI総合法律事務所では、2020年初頭から、新型コロナウイルス感染症への対応を分野ごとにまとめたシリーズ【コロナウイルス対応Q&A】を公表して参りました。また、昨今においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大だけでなく、その予防策としての新しい生活様式が、社会の様々な部分に変化を及ぼしており、企業法務の分野においても同様です。
そこで、こうした変化にいち早く対応し、クライアントの皆様のために最良のリーガルサービスを提供すべく、各分野の専門家を中心に、企業法務の分野において主に問題となるテーマの一部をQ&A方式でまとめさせて頂きましたので、是非ご活用いただければ幸いです。
【Q】
インターネットを利用して株主総会を開催することは可能でしょうか。
【A】
リアル会場において株主総会を実施しない、バーチャルオンリー型株主総会については、現行法上実施が難しいとされていますが、リアル会場で実施している株主総会の様子をライブ配信する、ハイブリッド型バーチャル株主総会であれば、適法に開催することができます。ハイブリッド型バーチャル株主総会は、株主が外部からリアル会場の様子を傍聴できるにとどまる「参加型」と、会社法上の「出席」株主として総会の場で質問や議決権行使を行うことも可能となる「出席型」に整理することができます。「参加型」「出席型」のいずれも、リアル会場に来場する株主数を減らすことができる上、参加・出席方法を多様化することで株主重視の姿勢をアピールすることができるなどのメリットがありますが、「出席型」については、濫用的な質問が増加することなども懸念されます。
また、「出席型」を実施する場合には、本人確認方法や質問・動議等につきリアル会場の場合とは異なる対処が必要であるため、これらの対処法を予め検討し、株主の権利を不当に害することがないよう注意する必要があります。
2020年の6月総会において、「参加型」を実施した企業は113社ありましたが、「出席型」については9社にとどまっています。