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オンライン授業における著作物利用の留意点
2020.09.08
TMI総合法律事務所では、2020年初頭から、新型コロナウイルス感染症への対応を分野ごとにまとめたシリーズ【コロナウイルス対応Q&A】を公表して参りました。また、昨今においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大だけでなく、その予防策としての新しい生活様式が、社会の様々な部分に変化を及ぼしており、企業法務の分野においても同様です。
そこで、こうした変化にいち早く対応し、クライアントの皆様のために最良のリーガルサービスを提供すべく、各分野の専門家を中心に、企業法務の分野において主に問題となるテーマの一部をQ&A方式でまとめさせて頂きましたので、是非ご活用いただければ幸いです。
【Q】
「授業目的公衆送信補償金制度」により、学校等におけるオンライン授業で著作物をどのように利用することが可能になったのですか。
【A】
学校等のオンライン授業で、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用できる「授業目的公衆送信補償金制度」(以下「本制度」)が、COVID-19の流行に伴うオンライン授業のニーズの高まりを背景に、当初の予定を前倒しして2020年4月28日から施行されました。
従来は、他人の著作物を利用した教材を複製し、生徒らに配布することは、無許諾かつ無償で認められていましたが、インターネットで送信する場合には、原則として著作権者の許諾が必要でした。本制度の施行により、授業に必要と認められる限度で、著作権者の利益を不当に害しない範囲であれば、他人の著作物を利用した教材を無許諾で、学校等におけるオンライン授業においてインターネットで送信できるようになりました。
本制度では、教育機関の設置者は、相当な額の補償金を文化庁長官から指定されている一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)に支払わなければなりません(その後、SARTRASから著作権者へ分配)が、COVID-19の流行に伴う特例的な措置として、2020年度に限り、補償金は無償となっています。