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才口弁護士に聞いてみよう(17)
2022.01.05
TMIの顧問弁護士であり、最高裁判事の重責も務められた才口弁護士に聞く、現代の「仕事」と「生き方」のヒント。
先生、あけましておめでとうございます。先生のブログを参考にしています。今年も色々なご相談への回答がとても楽しみです。
さて、近年、新型コロナ感染の影響もあって、リーガルサポート面でのAI技術の進化、リモートワークの導入・促進、働き方改革などさまざまな変化が生じており、それに応じて、我々の業界も激動の時代に入ってきたように感じております。
時代とともに弁護士に求められるものも変わってくるかと思いますが、先生がこれまでの法曹人生の中で、時代の変化、とりわけ仕事環境の変化(例えば書面の手書きからワープロへの変化、リサーチ方法の変化、コピーの一般化など)にどのように対応してきたか、そして、将来も弁護士として生き残り、第一線で活躍していくためにそういった環境変化にどのように対応していくことが大事かについて、教えてください。
新年明けましておめでとうございます。
本ブログは早くも一年有余を経て、今回で第17回目を迎えました。
皆様のご愛読を感謝します。
私も馬齢を重ね、今年の干支である『寅』年男の七回目を迎えました。
「人生100歳時代」ともて囃され、担当者からブログの継続を求められていますので、実に「斃(たお)れて後(のち)已(や)む」(『礼記』儒教経典)の心境です。
これからも半世紀を超えた法曹人生を織りなした経験を礎にしていろいろ語ろうと決意を新たにしました。
よろしくお引き廻しの程をお願いします。
AIやITなどと横文字化された人口知能や情報技術は日進月歩で、私が精励していた往時と比較すれば想像を絶する状況にあります。準備書面はカーボン紙を挟んだ鉄筆での手書き、青焼のコピーなどと悪戦苦闘の生業は従前のブログで披露させていただきました。こうした状況の中で、生来、新奇性を好み、いち早くワープロや最新のコピー機を事務所に導入し、裁判所の和解では携帯用のワープロ“OASIS”を持ち込んで和解調書を作成するなど流行の先端を走っていたのですが、そんな自慢話は今や過去の遺産となりました。
特に、新型コロナの感染拡大後は、デジタル技術を駆使しないと、事件処理もままならないことを法曹人も認識しました。しかし、リモートワークや在宅勤務が奏功しても、われわれ弁護士の本質であるリーガルマインドの醸成は不変かつ永劫です。また、弁護士業務は多種・多様化しました。その結果、事件が偏在化し、有能・豊富な人材を擁する大型事務所のニーズが深まりました。今こそわれわれは切磋琢磨して実力と総合力を発揮する時機です。
老残の身の私も「人生100歳時代」に何度でもアップデートできる行動戦略を模索し、そして、生き方、学び方を探しながら、パートナーシップを確立したいと決意しました。
そのためには、まずもって心身ともに健全である必要があります。
身体面では、私の私淑する鎌倉円覚寺官長 横田南嶺老師(若干59歳)は、著書“禅の教え”において、「禅語を読むには、頭であれこれと解釈することよりも、腰骨(仙骨)を立てて体で読むことが大切である。」と説き、「腰骨を立てましょう。」、「腰骨を意識して読みましょう。」と推奨されています。具体的には、「第一に、先ず尻をウンと後ろに引き、第二に腰骨の中心を前へウンと突き出し、第三に軽くあごを引いて下腹にやや力をおさめる。」と説かれています。要するに、問題解決の基本は、姿勢を正して腹を据えて取り組み、問題の在り処を耳を傾けて聞くことが肝心であるとのご示唆です。
次に、精神面ですが、高みを目指した挑戦が必要で、頭の中で考えたことを地道な努力で実践することに尽きます。日本人として身近なMVP受賞の大谷翔平選手を見習いましょう。
「日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」(『大学』儒教経典)です。
時々刻々変化する天下の体制・状況、具体的には身近な政治、経済、社会情勢のみならず世界情勢を刮目し、即戦力を持って対応して実現することが将来も弁護士として生き残り、第一線で活躍できる術であると愚考しますが、如何でしょうか。
コロナ禍の影響は、働き盛りの4~50歳代に最も顕著であるとの情報があります。
事務所一丸となって、この逆境を味方にして順境に導きましょう。
年頭にあたり所感の一端を述べました。
完
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