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資金調達手段としての株式・新株予約権発行(有利発行等)
2020.09.08
TMI総合法律事務所では、2020年初頭から、新型コロナウイルス感染症への対応を分野ごとにまとめたシリーズ【コロナウイルス対応Q&A】を公表して参りました。また、昨今においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大だけでなく、その予防策としての新しい生活様式が、社会の様々な部分に変化を及ぼしており、企業法務の分野においても同様です。
そこで、こうした変化にいち早く対応し、クライアントの皆様のために最良のリーガルサービスを提供すべく、各分野の専門家を中心に、企業法務の分野において主に問題となるテーマの一部をQ&A方式でまとめさせて頂きましたので、是非ご活用いただければ幸いです。
【Q】
当社は、資本増強のために普通株式の第三者割当ての方法による発行を考えております。COVID-19の流行を踏まえ、①発行価格の算定をどのように決定すればよいでしょうか。②また、適時開示の記載について気を付ける点はありますか。
【A】
①発行価格の算定について
株式の発行価格を決定する際、特に有利な金額で発行をする場合は株主総会においてその理由を説明する必要がありますが、取締役会設置会社において特に有利な金額でなければ取締役会の決議で発行をすることができます(会社法第199条第2項、第3項、第201条第1項)。特に有利な金額にあたるか否かの基準は、原則として、株式の発行に係る取締役会決議の直前日の価額に0.9を乗じた額以上の価額となっております。もっとも、COVID-19の流行による価額の状況等を勘案し、発行決議日の直前日を基準とすることが適当でない場合には、一定期間(最長6か月)の終値平均値を基準とすることも許容されると考えられます。
②適時開示について
適時開示において払込金額の算定根拠を記載することが求められております(東証有価証券上場規程第402条第1号(a)、同施行規則第402条の2第2項第2号)。上述のとおり、発行価格の算定において一定期間の終値平均値を基準とする場合、その合理的な理由が必要となり、その際にCOVID-19の影響を加味した理由を言及することになると考えられます。