ブログ
【ベトナム】改正知的財産法の主な内容について
2022.08.19
改正知的財産法の成立
2022年6月16日、ベトナム国会は、改正知的財産法第07/2022/QH15号(「改正法」)を採択しました(前回の記事も参照。【ベトナム】知的財産法の改正について)。改正法は2023年1月1日から施行されますが、音商標の保護に関する規定は 2022 年 1 月 14 日に遡って施行され、農薬に使われる試験データの保護に関する規定は2024年1月14日から施行されるという例外があります。
改正法の主な規定
改正法の新たに導入された主な規定としては、
▽著作者、共同著作者の定義、共同著作者のある著作物に対する著作者人格権および財産権の行使に関する規定*1
▽国家予算を使用するプロジェクトにおける発明・意匠のプロジェクト管轄機関による出願*2
▽特定の著作人格権の当事者の合意による譲渡(例として著作物命名の合意等)*3
▽音商標*4
▽権利保護のための技術的措置の適用(権利保護のための技術的措置とは、著作権所有者・隣接権所有者の許可なく行われた行為に対する著作権・隣接権を保護することを主たる機能として、通常の動作中に任意の技術、機器またはコンポーネントを使用する措置*5)
▽工業所有権登録出願に対する異議に関する規定*6
▽審査および監督を行う際に、輸入・輸出される商品が知的財産の偽造品であると疑う明確な理由がある場合の税関当局の通関手続きの停止権*7
等が挙げられます。
また、
▽公表著作物の使用に関する場合*8
▽保護証書の効力の終了および保護証書の無効に関する場合*9
▽工業所有権代理人の責任、工業所有権代理人としての実務に係る条件に関する規定*10
▽著作権・隣接権の登録書類およびその書類の提出方法(オンライン公共サービスポータルまたは郵便サービスを通じて書類を提出する方法を補充)*11
▽周知商標の定義および認定方法に関する規定*12
等についても改正が行われました。
改正法案との変更点
なお、改正法案の最終バージョンと比べると、改正法は、以下の点で変更されていますので、ご留意ください。
▽所有権*13、映画の著作物および演劇の著作物に対する著作権*14、レコードの制作者の権利*15、放送組織の権利*16、保護証書の効力の終了に関する規定*17について、改正法案の最終バージョンでいくつかの細かい点が修正されました。
▽標章として保護されない標識*18、工業所有権所有者*19、工業所有権代理機関の名称の削除等に関する規定*20の内容について、改正法案では改正されませんでしたが、改正法では改正が追加されました。
▽改正法案では、著作権および隣接権の共同管理組織の権利および義務として、当局の要請に応じて、著作権・隣接権の管理・施行活動およびその他の公共活動のための情報と証拠を提供するに関する内容を補充したり、植物品種の新規性に関する規定を改正したりしましたが、改正法では同規定が削除されました。
Source:
改正法の条文は、以下のリンクのとおり、ベトナム国家知的財産庁(Intellectual Property office of Vietnam: IP VIET NAM)及びJICAのウェブサイトでそれぞれ公表されています。
ベトナム知的財産法改正法【ベトナム語】
ベトナム知的財産法改正法【日本語訳】
*1)改正法1条4項
*2)改正法1条25項
*3)改正法1条5項
*4)改正法1条34項
*5)改正法1条1項a号
*6)改正法1条39項
*7)改正法1条80項a号
*8)現行法25条、改正法1条7項
*9)現行法95条および96条、改正法1条30項
*10)現行法153条および154条、改正法1条59項および60条
*11)現行法50条、改正法1条14項
*12)現行法4条20項および75条、改正法1条1項c号
*13)現行法20条、改正法1条5項
*14)現行法21条1項、改正法1条5項
*15)現行法30条2項、改正法1条9項
*16)現行法31条2項、改正法1条9項
*17)現行法95条6項、改正法1条30項
*18)現行法73条、改正法1条21項
*19)現行法121条、改正法1条45項
*20)現行法156条2項、改正法1条62項
Member
PROFILE