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【特許商標ブログ】NYSBA 2024 Seoul Global Conference “Cross Boarder Litigation and Transactions under a New Legal Paradigm”への参加(2024年10月16日~10月18日 韓国 ソウル)
2024.11.12
2024年10月16日から10月18日まで韓国ソウルの漢陽大学校にて開催されました、ニューヨーク州弁護士会国際部門が主催の” Seoul Global Conference “Cross Boarder Litigation and Transactions under a New Legal Paradigm”において、根本浩弁護士と栗林知広弁護士が「The Principle of Territoriality and Cross-Border Infringement of Intellectual Property Rights: A Comparison of the Approaches in Japan, South Korea, Thailand and the U.S.」をテーマとしてパネルパネルディスカッションを行いました。
Global Conferenceとは、ニューヨーク州弁護士会国際部門が主催するカンファレンスで、毎年、米国外の異なる都市(近年では、メキシコシティ、ロンドン、東京、パリ等)で米国及び外国の弁護士が集まり、相互に交流し、国際的なネットワークを広げることを目的とするものです。
今年は”Cross Boarder Litigation and Transactions under a New Legal Paradigm”をテーマとして、開催期間3日間を通じ、計30を超えるパネルが設けられ、米国裁判官を招待してのプレゼンテーションも行われました。弊所の知財グループからは、「The Principle of Territoriality and Cross-Border Infringement of Intellectual Property Rights: A Comparison of the Approaches in Japan, South Korea, Thailand and the U.S.」をテーマとするパネルに、栗林弁護士がモデレーターとして、根本弁護士がスピーカーとして参加しました。
同パネルは二部構成であり、まず、各国のスピーカーから、日本、韓国、タイ及び米国におけるクロスボーダーの知的財産権侵害の事案における知的財産法の属地主義の適用に関する考え方等についてご紹介いただき、その後、各国におけるプラクティスを比較するディスカッションを行いました。
日本では、ドワンゴ対FC2の事件(令和2年(ネ)第10077号及び令和4年(ネ)第10046号)において、知財高裁からネットワーク関連発明と属地主義に関する重要な判決が2022年と2023年に相次いで下されました。他方で、韓国や米国においても、近年、クロスボーダーの知的財産権侵害における各国の特許法の越境的な適用を認める重要な判決が出されています。このように、クロスボーダーの知的財産権侵害訴訟における伝統的な属地主義の考え方から生じる不都合をいかに解消するかという点は世界的にも重要な一つのトレンドになっているといえます。日本に関しては、上記ドワンゴ対FC2事件(令和2年(ネ)第10077号)の代理人であった根本より、同事件の内容及び判決の意義等を説明し、属地主義の適用における近年の日本の知財高裁の考え方を紹介しました。
続いて、栗林がモデレーターとして、各国のスピーカーと、クロスボーダーの特許権侵害訴訟のプラクティスに関して、証拠収集方法、侵害訴訟と無効審判手続との関係、損害の考え方、和解協議等、様々な側面から比較検討するパネルディスカッションを行いました。特に、証拠収集方法や、損害に関する考え方、和解に関する裁判所の関与等の点における各国の制度の違いは大きく、これらが実際の訴訟戦略にどのような影響を与えるのかという点について、具体的な事例を交えて議論がなされました。
本パネルが開催された会場は満席で、国際的な知財訴訟のプラクティスに関する参加者の関心の高さが伺えました。
以上のような情報についてご興味があれば、ぜひ根本浩弁護士及び栗林知広弁護士までお問い合わせください。