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子どもたちへの知的財産教育・発明教育について
2026.02.13
はじめに
TMIでは、毎年、HILLS WORKSHOP FOR KIDSにおいて「模擬裁判ワークショップ(模擬裁判を体験しよう)」を提供し、子どもたちが裁判官・検察官・弁護人の役割を体験できる機会を通じて、未来の法曹人材の育成に貢献しています。
また、TMIの弁理士は、日本弁理士会の委員会活動等を通じて、未来の発明者や弁理士の育成にも積極的に取り組んでいます。
以下では、筆者(岩永)がこれまでに行ってきた、あるいは現在関わっている、また把握している知的財産(知財)教育および発明教育の取組について、ご紹介します。
知財教育および発明教育に取り組むに至った背景・動機
下記は、筆者が2000年に弁理士試験に合格した後、日本弁理士会の機関誌である『パテント』誌に初めて投稿した「私の目指す弁理士像」の中で記した一節です。

(出典:「パテント」2002年5月号44頁)
https://www.jpaa.or.jp/old/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200205/jpaapatent200205_044-044.pdf
上記の通り、筆者は、子どもの頃に発明を行った経験を契機として弁理士を志すに至りました。大学4年生時の就職活動では企業の特許部を志望し、以来、約33年間にわたり特許業界に身を置いています。筆者が知財教育・発明教育に関心を持つようになった原点は、まさにこの発明体験にさかのぼります。
日本弁理士会における知財教育・発明教育
日本弁理士会の知的財産支援センターでは、2003~2004年頃から、次世代層の「知的財産マインド」育成のために、「母校(小学校・中学校)に戻ろう」というスローガンのもと、弁理士を教育現場に派遣し、学校教育の中で知的財産の基本的な考え方を直接指導する活動を開始しました。筆者も、その初期の頃から、この活動に参加させていただいています。
現在も、下記の各種委員会活動を通じて、学校やサイエンスイベント等へ弁理士を派遣して、知財教育・発明教育が継続的に行われています。
「自分の子どもが通う学校にも弁理士を派遣してほしい」といったご要望がございましたら、ぜひ下記の窓口までお問い合わせください。
●日本弁理士会 関東会 知財創造教育支援委員会
https://ipe.jpaa-kanto.jp/
(現委員長は、TMIの遠田利明弁理士https://www.tmi.gr.jp/people/t-enda.html)
●日本弁理士会 東海会 教育機関支援機構
https://www.jpaa-tokai.jp/activities/class/index.html
●日本弁理士会 関西会
https://www.kjpaa.jp/ipsa/class
●日本弁理士会 知財支援センター 第1事業部
https://www.jpaa.or.jp/activity/teaching/dispatch/
(支援活動だよりhttps://www.jpaa.or.jp/support_activity/)
(知的財産教育教材https://www.jpaa.or.jp/activity/teaching/)
※上記知的財産教育教材のうち、「知的財産ドラマ~社長、初めての特許~」は、出演者がすべて弁理士で構成されており、知的財産を身近に感じていただける教材としておすすめです。(筆者も(1秒間)出演しています。)
●日本弁理士会 知財支援センター パテントコンテスト事業部
https://www.jpaa.or.jp/activity/teaching/patent-contest/
日本知財学会における知財教育・発明教育
日本知財学会は、知的財産を生み出す研究者や、それを活用する企業の経営者を中心として、ニーズ指向の知財学を振興することを目的に、2002年(平成14年)10月に設立された学会です。学会内には、テーマごとに研究を行う様々な分科会が設けられています。
これらの分科会の中でも、「初等中等教育段階を含めた、専門家養成に捉われない知財教育の普及推進を目的に、教育学の研究者のほか、学校現場の教職員や生涯学習・社会教育などに携わる人々の連携を深め、わが国の知財教育の発展を目指す」分科会として、「知財教育分科会」が設けられています。
本分科会の主なメンバーは、知財教育に取り組む学校教員の方々ですが、筆者もその末席に加えさせていただいています。活動の中心は、約2か月に1回開催される研究会であり、知財教育の実践事例に関する報告・発表等を通じて、参加者相互の知識や教育実践力の向上を図っています。
なお、日本知財学会には、「知財人財育成研究分科会」も設置されていますが、こちらは子どもたちへの知財教育・発明教育を対象とするものではではなく、「企業や特許事務所をはじめ広義の知財関係者の人財育成に関する学習と研究(教育学習理論からポストe-learningまで、知財人財の流動性促進から知財人財のキャリアマネジメントまで、等々)を行うことを目的」としています。
放送大学における「発明教育学入門」
放送大学というと、テレビやラジオ、インターネットを通じて、好きな時間に講義を受けられる通信制大学というイメージがあると思います。しかし実際には、全国57カ所の学習センターやサテライトスペースにおいて面接授業も開講されており、一般的な大学と同様に、教室で対面形式の講義を受けることができる授業も用意されています。
筆者は、その面接授業の一つとして、2011年(平成23年)から「発明教育学入門」という科目を担当させていただいています。本科目では、10代から90代までの幅広い年代の学生の方々に、発明や知財の重要性などについて学んでいただいています。こうした学びが、受講生ご自身のみならず、その身近にいる子どもたちへも波及し、発明や知財の大切さが広く共有されていくことを願いながら、授業を行ってきました。
そのほかの知財教育・発明教育
学校外にも、子どもたちが発明や知的財産に触れられる学びの場があります。代表例として、公益社団法人発明協会が全国各地で展開する「少年少女発明クラブ」が挙げられます。ものづくりや創意工夫を通じて、発明の面白さを体験的に学べる取組として広く知られています。
また、特許庁・自治体・大学・企業等が連携し、出前授業やサイエンスイベントの一環として、発明や知的財産の考え方を紹介する取組も各地で行われています。
こうした活動を通じて、素敵な発明者が一人でも多く育ち、そこから生み出される多くの発明が、未来の世界において、人々が平和に、そして楽しく暮らせる社会の実現につながっていくことを心から願っています。
以上
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