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イベント開催の際の返金規定
2020.09.08
TMI総合法律事務所では、2020年初頭から、新型コロナウイルス感染症への対応を分野ごとにまとめたシリーズ【コロナウイルス対応Q&A】を公表して参りました。また、昨今においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大だけでなく、その予防策としての新しい生活様式が、社会の様々な部分に変化を及ぼしており、企業法務の分野においても同様です。
そこで、こうした変化にいち早く対応し、クライアントの皆様のために最良のリーガルサービスを提供すべく、各分野の専門家を中心に、企業法務の分野において主に問題となるテーマの一部をQ&A方式でまとめさせて頂きましたので、是非ご活用いただければ幸いです。
【Q】
当社の主催するイベントがCOVID-19の影響で中止になってしまいました。この場合、当社は、チケット購入者にチケット代金を返金する義務がありますか。
【A】
適用される規約に払戻しをしない旨の規定がある場合には、主催者は原則として払戻義務を負わないことになります。もっとも、チケット購入者の利益を一方的に害すると認められる条項は無効となる場合があります(消費者契約法第10条、民法第548条の2第2項)。
他方、適用される規約にイベント中止の際の払戻規定がない場合には、民法の規定に従うことになります。イベントの中止について主催者の帰責事由がない場合、主催者は原則として払戻義務を負うと考えられます(民法第536条第1項、第542条)。
【Q】
当社は、チケット購入者が予約していたホテルのキャンセル代等の費用についても支払う義務がありますか。
【A】
適用される規約に免責規定がある場合には、原則としてこれに従うことになります。他方、規約にかかる規定がない場合であっても、イベントの中止について主催者に帰責事由がない場合、主催者はチケット代金以外の費用について支払義務を負うことはないと考えられます(民法第415条)。