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【中国】【商標】『商標審査審理ガイドライン』の改訂及び解説書の公表
2021.12.14
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2021年11月16日付で「商标审查审理指南(商標審査審理ガイドライン)」(以下「本ガイドライン」という)を改訂して公布し(国家知識産権局公告第462号)、また、2021年12月2日付で本ガイドラインの解説書を公表しました。本ガイドラインは2022年1月からの運用が予定されております。
本ガイドラインは、5部・全25章からなる上巻「形式審査と事務手続編」と、全19章からなる下巻「商標審査審理編」から構成されており、改訂前の商標審査審理ガイドラインと比べて、内容がさらに充実されたものとなっております。
■上巻「形式審査と事務手続編」
第1部 商標出願形式審査
第2部 商品・役務と商標検索要素に関する分類
第3部 その他商標業務審査
第4部 マドプロ国際商標登録審査
第5部 商標出願事務処理
上巻第1部では、出願の形式審査や異議申立て及び審判に関する具体的な規定、第2部では商品・役務の分類や商標の検索要素の分類について規定し、同一・類似の先行商標の有無を事前により正確に検索、確認できるように規定されています。また、第3部においては、主に会社解散、倒産、清算等に伴う商標の移転、及び質権の設定などの特殊な商標権処分に関する具体な規定を新設しているほか、第4部と第5部では、それぞれマドリッド協定議定書に基づく中国商標の国際登録と、書類の送達、費用納付などの管理に関わる一般的な事務について規定しています。上巻の中には、例えば会社の名義変更が数回にわたってなされた場合に、1回で現行の名義に変更できるような運用方法など、実務家にとって大いに役立つ規定が多く追加されています。
■下巻「商標審査審理編」
下巻の「商標審査審理編」においては、商標審査審理に関する基本原則が明確にされており、なかでも使用を目的としない悪意の商標出願に関する規定が多く設けられているのが特徴となっています。例えば第2章においては、「不当な手段」「悪意」といった概念についての詳しい説明がされたうえで、典型的な悪意の商標出願の例として、10種類の例が挙げられているほか、第14章においては、他人が有する先の権利を毀損する例として、他人の著作権や氏名、肖像などのほか、地理的表示についても新たに規定されています。
他人の商標のみならず、他人の著作物やキャラクター名・他人の氏名、地理的表示など、商標以外についても、中国では商標出願がされる例が後を絶たないところ、かかる他人の先に存在している権利についての保護も明確化することで、商標出願、異議申立・無効審判などの審理において、第三者の冒認出願に対してさらに確実な法的根拠と措置を取っていくことが期待できると考えられます。
本ガイドラインの改訂は、中国当局が実際の使用を目的としない、あるいは信義誠実の原則に違反する不正な目的による商標の出願に対して、より厳しく対処していくとの決意を表すものと言えそうです。
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