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【特許商標ブログ】2023年9月15日 第8回意匠五庁(ID5)年次会合ユーザーセッション(韓国 仁川)
2023.10.06
2023年9月15日に韓国仁川のオークウッドプレミア仁川の会場とオンラインを併用して行われました、第8回意匠五庁(ID5)年次会合ユーザーセッションに、日本弁理士会を代表して弁理士 茜ヶ久保公二が出席するとともに、日本知的財産協会(JIPA)の出席者とともに「Digital Design Protection in Metaverse」をテーマとして共同で発表いたしました。
意匠五庁(ID5)とは、世界の意匠出願の約9割(創設当時)を占める日米欧中韓の主要五庁(日本国特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、欧州共同体商標意匠庁(EUIPO)、中国国家知識産権局(CNIPA)、韓国特許庁(KIPO))をいいます。これらの5庁が、意匠分野での国際協力を推進するために「意匠五庁(ID5)会合」を創設しました。ID5は、ユーザーが世界各国で安定した意匠権を速やかに取得し、活用できる、意匠の保護環境を整備するために、意匠制度に関する知財庁間の相互理解を促進し、更なる協力関係の構築を進めています。
年次会合は、年ごとにアメリカ→中国→欧州→韓国→日本の順で各庁が持ち回りで主催されており、本年は、KIPOの主催により韓国・仁川で開かれました。初日に官庁間会合が開かれ、翌日に各国ユーザー団体を招いて行われるユーザーセッション開催されます。ユーザーセッションは、5庁が、各国ユーザーに対して5庁及びID5の取り組みを紹介するとともに、ユーザーの意見を聴取する機会として位置付けられています。なお、来年はJPOの主催により日本で開催される予定です。
[参加者(一部)による集会写真]
(写真は韓国特許庁(KIPO)よりご提供いただきました。)
本セッションでは、まず、ID5の取り組み(現状12のプロジェクトが進められています。)が紹介されました。KIPOからは、「Protection of Digital Design In Metaverse」として、CNIPAと共同で検討した研究の成果が発表されました。具体的には、5庁におけるメタバースデザイン(発表中では「Digital Design」と呼ばれていました。)の保護状況について検討した結果が発表されました。
次に、5庁の各庁から「Office Updates」として、各国における最新の出願動向、改正の状況、各庁の取り組みなどについて発表がなされました。
ランチを挟んで午後には、テーマを「Protection of Digital Design in Metaverse」として、各国のユーザーによる発表が行われました。
私(茜ヶ久保)は、日本のユーザー代表として、JIPAの出席者とともに発表しました。まず、JIPAの出席者より、日本におけるメタバース空間の具体例を紹介いただき、あわせて、産業界から見たメタバースにおけるデザインの保護の課題について発表いただいたのち、私から、日本の現行意匠法ではメタバースの保護は十分ではないことを前提とし、日本の意匠法におけるメタバースデザインを保護するための改正の3つのオプションについて紹介しました。(登壇した茜ヶ久保公二弁理士)
メタバースデザインを意匠法においてどのように保護してくべきかについては、各国においても未だ明確に定まっておらず、5庁のいずれにおいても、今後の重要な検討課題のひとつです。引き続き、各国における保護の状況を注視しながら、望ましい保護の態様を検討していく必要があると考えます。
近年のID5ユーザーセッションは、2019年に日本の浦安で開催されて以降、コロナパンデミックの影響で、2020年米国開催は中止、2021年中国開催はオンライン形式で参加、2022年欧州開催時はハイブリッド開催であったものの日本弁理士会はオンライン形式で参加という状況でありましたので、ユーザーセッションに現地で参加するのは4年ぶりとなりました。今回、JPOを含めた5庁関係者及び各国ユーザーと対面で交流し意見交換できる機会は非常に貴重であることを再確認しました。
以上のような情報についてご興味があれば、ぜひ茜ヶ久保弁理士までお問い合わせください。
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