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【特許商標ブログ】第13回日中韓デザインフォーラムへの参加(2024年9月3日 韓国 ソウル)
2024.09.18
2024年9月3日に韓国ソウルのFKIカンファレンスセンターにて行われました、第13回日中韓デザインフォーラムに、日本弁理士会を代表して弁理士 茜ヶ久保公二が出席するとともに、同じく弁理士会から参加した桑原かほり弁理士とともに「Design for Space "Protection of the Interior/Architectural Design in Japan"」をテーマとして発表いたしました。
日中韓デザインフォーラムは、2009年の第9回日中韓長官会合における合意に基づき、2010年から日本国特許庁(JPO)、韓国特許庁(KIPO)、中国国家知識産権局(CNIPA)が持ち回りで開催しており、今年で13回目を迎えました。本フォーラムは、日中韓各国におけるデザイン保護制度の相互理解を深め、デザインの活用に資する意匠保護の在り方を議論することを目的とするものです。
本年は、KIPOの主催により開催されました。韓国は、2014年にハーグ協定に加盟しましたが、ハーグ協定加盟10周年を記念するフォーラムとして開催されました。
[各国庁関係者と発表者による集会写真]
(写真はJETROソウルよりご提供いただきました。)
本フォーラムでは、午前のセッションとして、WIPO、KIPO、CNIPA、JPOの順にハーグ協定の国際意匠登録出願に関わるプラクティスや各国のプラクティスに関わる最新情報が紹介されました。
ランチを挟んで午後のセッションでは、テーマを「Trends in the Interior and Architectural Design」として、各国のユーザーによる発表が行われました。
日本では、2019年の意匠法改正により建築物および内装の空間デザインが保護されるようになりました。一方で、韓国ではデザイン保護法において未だ空間デザインが保護対象となっていない状況であり、法改正を検討するうえでも、各国のユーザーによる情報は重要であろうと思われます。
まず、韓国の世界的な建築デザイナーであるJong Kimデザインスタジオのキム・ジョンワン氏から、商業施設における内装デザインに関する事例が紹介されました。
続いて、茜ヶ久保と桑原より、日本の意匠法における空間デザインの保護の事例を紹介しました。プレゼンテーションでは、まず、日本の意匠法における保護の対象は、単に物品・画像・建築物といったカテゴリーに限られるものではなく、光を表現したデザインやサービス意匠といえるデザインなど、サービスや企業イメージなどにまで及んでいる現状を説明しました。そのうえで、空間デザインの意匠登録では、全18の登録例を紹介しながら、単に権利行使を意図した登録に限られず、企業によるプロモーション、デザイナーの地位・モチベーション向上、企業イメージ向上、製品の付加価値、サービス(ビジネスモデル)の権利化、などを意図した登録が見られるなど、空間デザインの保護により、意匠登録に新たな価値や意義が生まれたと考えることができることを紹介しました。
(登壇した茜ヶ久保公二弁理士)
次に、中国の清華大学建築デザイン研究所のZHANG Wei副学長が、中国における内装・建築デザインの保護現状について発表し、最後に、CJグループのIPセンターのキム・ミンテ氏が、韓国における内装デザインの保護政策や制度について説明し、企業の立場で内装デザインの効率的な保護に向けて韓国のデザイン保護法が目指すべき方向性について意見を述べられました。
会場で出席したユーザー(韓国の弁理士・弁護士が多い印象でした。)からは、日本の空間デザインの登録例や裁判例について、非常に多くの質問が寄せられ、なかには大変高度な内容に関わる質問もあり、空間デザインの意匠法による保護に対する関心の高さがうかがえました。
以上のような情報についてご興味があれば、ぜひ茜ヶ久保弁理士までお問い合わせください。
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