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【ケニア】ACA(模倣品対策機関)による知的財産権登録の義務化
2022.06.02
ケニアにおいて、2023年1月1日より、模倣品対策機関(ACA: Anti-Counterfeit Authority)での輸入品の知的財産権登録が義務化され、今後、ケニアに輸入される商品すべてに当該登録が求められることになります。
知的財産権登録の内容
2018年に行われたケニア模倣品取締法(Anti-Counterfeit Act, 2008)の改正により、ケニアに輸入される商品に関する知的財産権について、その権利者によるACAへの登録が義務付けられました。その後、関連規則の制定と専用サイト(AIMS)の構築が行われ、2022年4月よりオンライン登録が開始されました。ACAへのオンライン登録は、ケニア知財庁への商標登録とは別の制度となっており、ACAに知的財産権を登録せずに商品(原材料を除く)を輸入した場合、法規定上は、商品の没収や刑事訴追を受ける可能性がありますので、注意が必要です。
申請費用は、1区分目が90ドル、2区分以降は10ドルの追加となり、有効期間は1年間であり、毎年更新が必要となります。
時期
当初は2022年7月1日の運用開始が予定されていましたが、2022年5月23日の通知によれば、登録期限が2023年1月1日まで延長されたようです。申請から登録までに必要な期間は、現地代理人へ知的財産登録の依頼をしてから、およそ35-40日となりますので、2023年1月1日に向けて余裕をもって準備を進めることをお勧めいたします(但し、再度延長などの可能性もあります)。
登録に必要な情報
今後の運用で変更される可能性はありますが、現時点で登録に必要とされている情報は以下のとおりです。
a) 権利者の氏名、郵便番号、住所、電話番号等の詳細情報
b) 代理人の名前と住所
c) その知的財産権を使用するケニア現地の事業者、ライセンシーの名前と住所
d) 外国でその知的財産権を使用する親会社、子会社、又は兄弟会社である外国会社の詳細情報
e) 委任状
f) 保護される商品のサンプル又は写真
g) 対象の知的財産権の記載
h) 対象商品の記載
i) 対象商品の生産地の記載
j) 対象の知的財産の認証済みの登録証または最新の更新登録証
k) 申請人の会社の登記簿
l) 申請人の納税者番号
m) 対象商品の生産者の氏名、郵便番号、住所、Eメールアドレス、電話番号等の詳細情報
なお、j)の対象の知的財産の登録証または最新の更新登録証については、海外における登録証を提出することは可能ですが、英語以外で記載されている登録証については、英訳を付ける必要があります。
コメント
上記のACAによる知的財産権登録は、模倣品を水際で差し止めるための税関登録に類似するものですが、権利者が任意で行うものではなく、罰則付きで強制される点が他国とは異なります。ケニアでは、法令と運用の間のギャップが多くみられ、実際にどのように運用されるか注視していく必要があります。例えば、法律上は特許権、意匠権、著作権を含むすべての知的財産権が対象となっていますが、実際には商標権の登録のみが求められるとの情報や、現時点では違反した場合でも商品の没収等は行わない方針であるとの情報もあります。本制度が模倣品の流入阻止にどの程度役立つのかなど不明なことが多い中、年次更新も含めて権利者側の負担も大きく、早期の運用の適正化が望まれます。
Source:
- The Anti-Counterfeit Act, 2008
- The Anti-Counterfeit (Recordation) Regulations, 2021
- Commencement of Recordation of Intellectual Property Rights in Kenya (The ACA’s Public Notice No.1/2022 issued on 26 April 2022)
- Extension of Deadline: Commencement of Recordation of Intellectual Property Rights in Kenya (The ACA’s Public Notice No.2/2022)
- FAQs - Intellectual Property Rights Recordation