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[マレーシアブロブ]マレーシアにおけるフランチャイズ規制の概要
2026.06.09
フランチャイズとは
ヨーロッパ・フランチャイズ倫理綱領(European Code of Ethics for Franchising)によれば、「フランチャイズ」とは、「商品、サービス又は技術を市場に展開するための事業システムであり、法的及び財務的に独立した事業者であるフランチャイザーと個々のフランチャイジーとの間の緊密かつ継続的な協力関係に基づくものをいう。この制度の下で、フランチャイザーは、自己の事業コンセプトに従って事業を運営する権利を個々のフランチャイジーに付与するとともに、その義務を課すものである。」と定義されています[1]。
フランチャイズ業界は世界的に急速な成長を遂げていますが、マレーシアにおいては、フランチャイズ事業は法令により規制されていることに留意が必要です。マレーシアにおけるフランチャイズ事業を規律する主要な法律は、1998年フランチャイズ法(Franchise Act 1998(Act 590))(以下「フランチャイズ法」といいます。)です。フランチャイズ法は、マレーシア国内で行われるすべてのフランチャイズの販売及び運営に適用されます[2]。
[1] https://eff-franchise.com/code-of-ethics/
[2] フランチャイズ法第3条第1項
フランチャイズの主な特徴
フランチャイズ法上、「フランチャイズ」とは、2名以上の者の間で締結される契約又は合意(書面、口頭、明示又は黙示を問いません。)であって、以下の要件を満たすものをいいます[3]。
- フランチャイザーが、一定期間、自らの事業システムに基づいて事業を運営する権利をフランチャイジーに付与すること
- フランチャイザーが、その商標、営業秘密、知的財産権又は秘密情報の使用をフランチャイジーに許諾すること
- フランチャイザーが、フランチャイジーの事業運営に対して継続的なコントロールを及ぼすこと
- フランチャイジーが、付与された権利の対価として、手数料その他の対価を支払うこと
[3] フランチャイズ法第4条
フランチャイザーとは
フランチャイズ法上、「フランチャイザー」とは、「フランチャイジーに対してフランチャイズを付与する者」をいいます。また、マスターフランチャイジーとサブフランチャイジーとの関係においては、マスターフランチャイジーもフランチャイザーに含まれます[4]。
[4] フランチャイズ法第4条
フランチャイジーとは
フランチャイズ法上、「フランチャイジー」とは、「フランチャイズの付与を受ける者」をいいます。また、以下の者もフランチャイジーに含まれます[5]。
- フランチャイザーとの関係におけるマスターフランチャイジー
- マスターフランチャイジーとの関係におけるサブフランチャイジー
[5] フランチャイズ法第4条
フランチャイザー、外国フランチャイザー及びフランチャイジーの登録要件
フランチャイズ法上、フランチャイザーは、マレーシア人に対して又はマレーシア国内において、フランチャイズを展開若しくは販売する前に、フランチャイズ登録を行う必要があります[6]。
登録申請に必要な書類を当局へ提出した後、登録完了までには通常1か月から3か月程度を要します[7]。ただし、この期間はあくまで一般的な目安にすぎず、申請内容の複雑さ、当局における申請案件の滞留状況、人的リソースの不足等によって変動する可能性があります。場合によっては、登録手続に6か月以上を要することもあります。また、登録官(Franchise Registrar)は、申請内容やフランチャイズ事業の内容を確認するため、申請者との面談・インタビューを実施することがあります。
外国フランチャイザーの場合には、フランチャイズ法に基づく登録義務に加え、事前承認を取得する必要があります[8]。さらに、フランチャイザーが非マレーシア人に対してフランチャイズ事業を販売しようとする場合にも、フランチャイズ法上の所定の承認を取得する必要があります[9]。
フランチャイジーについては、フランチャイズの付与を受けた後、所定の書類及び手数料を添えて登録官への登録を行う必要があります[10]。もっとも、フランチャイジーの登録は、フランチャイザーの登録が承認された後にのみ行うことができ、かつ、その登録手続はフランチャイザーのみが行うことができます[11]。そのため、実務上は、各フランチャイジーは自らのフランチャイザーに対し、自身に代わって登録申請を行うよう依頼するとともに、フランチャイズ登録手続が適切に完了していることを確認する必要があります。
また、現行実務上、フランチャイズ登録申請は、起業家・協同組合開発省(Ministry of Entrepreneur and Cooperatives Development)が承認したフランチャイズコンサルタント(https://myfexv2.kuskop.gov.my/carian-konsultanに掲載)を通じてのみ提出することが認められています。したがって、フランチャイザーは、通常、フランチャイズコンサルタントを起用し、登録及び承認手続全体を通じて、必要書類の準備・提出、法令及び規制上の要件への対応並びに関係当局との協議・調整等について支援を受けることになります。
[6] フランチャイズ法第6条
[7] https://myfexv2.kuskop.gov.my/faq
[8] フランチャイズ法第54条
[9] フランチャイズ法第53条
[10] フランチャイズ法第6A条及び第6B条
[11] https://myfexv2.kuskop.gov.my/faq
フランチャイズ登録の有効期間
フランチャイズ登録の有効期間は5年間です[12]。登録を更新する場合には、登録有効期限の満了日から30日以内に更新申請を行う必要があります[13]。また、更新手続は有効期限満了日の6か月前から開始することができます[14]。
[12] フランチャイズ法第25条
[13] フランチャイズ法第10A条1項
[14] https://myfexv2.kuskop.gov.my/faq
フランチャイズ登録申請に必要な書類
フランチャイズ登録申請に当たっては、通常、以下の書類の提出が求められます[15]。
- 当該フランチャイズに係るマレーシア国内の商標登録証明書
- フランチャイズ契約書
- フランチャイズ開示書類
- フランチャイズ運営マニュアル
- フランチャイズ研修マニュアル
- 直近3事業年度分の監査済財務諸表
- 当局が公表するチェックリストに基づき要求されるその他の書類
重要な点として、フランチャイズ登録申請を行う前に、当該フランチャイズに係る商標について、マレーシア知的財産公社(Intellectual Property Corporation of Malaysia)が発行した商標登録証明書を取得しておく必要があります。マレーシアにおいて商標を出願中で、まだ商標登録が完了していない場合には、原則としてフランチャイズ登録申請を行うことはできません。また、通常、フランチャイザーが当該フランチャイズ事業分野において少なくとも3年間の事業実績を有していることが求めれます。
[15] フランチャイズ法第7条1項及び24条
まとめ
以上のとおり、フランチャイズ法は、マレーシアにおいてフランチャイズ事業を開始する前提として、登録義務、承認取得義務その他の要件を定めています。したがって、フランチャイズの方法によるマレーシア進出を検討する場合、登録及び承認手続を円滑に進めるためにも、早い段階から十分な準備及び事業計画の策定を行うことが重要です。


