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みなと緑地PPPの推進~宮古島市のトゥリバー海浜公園利活用事業を例に~
2026.06.30
はじめに
令和4年12月の港湾法(昭和25年法律第218号)の一部改正により、官民連携によりみなとの賑わい空間を創出するための制度として、港湾環境整備計画制度(以下「みなと緑地PPP」といいます。)が創設され、令和8年2月12日には、みなと緑地PPPガイドライン(以下「本ガイドライン」といいます。)が策定されました(※1)。
また、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和8年改定版)」(※2)では、みなと緑地PPPの活用を念頭に、重点分野を「クルーズ船向け旅客ターミナル施設」から「港湾施設」と整理し、10年ターゲット目標が10件から30件に上方修正されました。
上記のとおり、みなと緑地PPPの導入促進を図る各種の取組が進められており、また、現在、港湾環境整備計画の認定事例は10件となり、実際に、活用実績も順調に数を増やしています(※3)。
今回は、みなと緑地PPPの制度概要に触れるとともに、同制度の実用例として、宮古島市のトゥリバー海浜公園利活用事業の概要を紹介いたします。
(※1)みなと緑地PPPガイドラインを策定しました
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001981022.pdf
(※2)PPP/PFI推進アクションプラン(令和8年改定版)
https://www8.cao.go.jp/pfi/actionplan/action_index_r8.html
(※3)みなと緑地PPP(港湾環境整備計画制度) 実績
https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_tk4_000072.html
みなと緑地PPPの概要
みなと緑地PPPとは、民間事業者が、港湾管理者等が公表するビジョン、港湾計画、公募要項、公募時の提案書等に基づき、港湾環境整備計画を作成・申請し、港湾管理者が当該計画を認定することで、行政財産である緑地及び広場を民間事業者が借り受けることが可能になる制度です。
民間事業者は、港湾緑地等において収益施設の整備・運営を行うとともに、収益施設から得られる収益の一部を還元して、港湾施設・緑地等のリニューアルや維持管理を行います。

(※4より引用)
なお、国土交通省港湾局産業港湾課が公表しているよくあるご質問によると、収益源となる「収益施設」と、公共還元として整備される「港湾施設」の具体例として、以下が示されています(※5)。
| 収益施設 | 飲食店、販売店、イベントホール、宿泊施設、荷物預り所、港湾展望施設、研修施設、学習体験施設等 |
| 港湾施設 | 休憩所、案内施設、見学施設、芝生、植栽、ベンチ、トイレ、駐車場、照明設備、備蓄倉庫等 |
みなと緑地PPPの主な特徴は、下表のとおりです。
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(1) |
対象施設 | 行政財産として港湾台帳(港湾法48条の2)に記載されている港湾法第2条第5項に定める港湾環境整備施設の緑地及び広場(行政財産)。 |
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(2) |
条件 | 民間事業者が設置する収益施設から得られる収益の一部を休憩所等公共部分の整備や緑地の維持管理等への公共還元が必要。 |
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(3) |
事業期間 | 最大30年以内(当初の公募及び当初契約において再契約の可能性を明示した上で再契約を結ぶことは可能。)。 ※Park-PFI制度は、20年以内(計画認定期間)の範囲で、設置許可(最長10年間)の更新を保証 |
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(4) |
収益施設の建蔽率 | 港湾法上の建蔽率の定めはなく、用途地域の一般的な規制に準じる。 ※Park-PFI制度は、都市公園法上の特例として上限12%。 |
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(5) |
水域利用 | 港湾区域等の工事等の許可のみなし特例がある。また、みなと緑地PPPと合わせて、水域の活性化を図ることも考えられる。 |
後述の宮古島市トゥリバー海浜公園利活用事業では、みなと緑地PPPと合わせた水域の活用が想定されています。
(※4)みなと緑地PPP(港湾環境整備計画制度)
https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_tk4_000061_2.html
(※5)民間事業者による賑わい創出に資する公共還元型の港湾緑地等の施設整備
https://www.mlit.go.jp/kowan/content/001743071.pdf
宮古島市トゥリバー海浜公園利活用事業
令和8年5月11日に、宮古島市は、令和8年6月1日から令和18年5月31日を認定期間として、トゥリバー海浜公園利活用事業に係る港湾環境整備計画を認定いたしました(※6)。本事業では、ビーチラウンジにおける飲食店、宮古島で体験できるアクティビティハブ施設(スノーケリング、カヤック、サップ等)等の整備が予定されています。
以下、「宮古島市みなとまちづくり基本計画に基づくトゥリバー海浜公園利活用事業(拠点Ⅱ)募集要項」(※7)(以下「募集要項」といいます。)等の公募資料を踏まえて、本事業を紹介いたします。
(1) 応募者の募集・選定スケジュール
募集要項におけるスケジュール概要は、下表のとおりです(募集要項17頁目参照)。
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① |
募集要項等の公表 | 令和7年4月11日 |
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② |
現地見学会の実施期間 | 令和7年4月21日~5月16日 |
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③ |
募集要項等に関する質問の受付・回答 | 令和7年4月21日~令和7年6月下旬 |
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④ |
応募書類の受付 | 令和7年7月7日~7月25日17時 |
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⑤ |
事業提案に関するプレゼンテーション | 令和7年8月下旬 |
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⑥ |
貸付等予定者の決定 | 令和7年9月初旬 |
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⑦ |
覚書の締結 | 令和7年9月下旬 |
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⑧ |
港湾環境整備計画の認定申請、計画の認定等 | 令和7年10月~令和8年2月 |
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⑨ |
事業用定期借地権の設定に関する契約の締結 | 港湾環境整備計画の認定後、契約手続きが整い次第速やかに締結(令和8年3月頃を予定) |
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⑩ |
事業着手 | 事業用定期借地の設定に関する契約の締結後 |
貸付等予定者決定後の流れとして、覚書の締結、港湾環境整備計画の認定申請・計画の認定等、そして、事業用定期借地権設定契約の締結に進むことが想定されています。
(2) 契約等に関する事項
① 覚書
貸付等予定者決定後に締結する覚書では、募集要項等及び提案書類に基づいた港湾環境整備計画の作成及び申請や、定期借地権設定契約の締結に係る事項等が規定されています(第4条、第5条)(※8)。
また、本事業では、トゥリバー海浜公園に隣接する水域部との一体的運用も想定されることから、定期借地権設定契約の締結を条件に、借地権の存続期間中、港湾法第37条第1項第1号に基づき占用を許可する旨が定められています(第5条第1項)。
② 事業用定期借地権設定契約
公表されている「宮古島市みなとまちづくり基本計画に基づくトゥリバー海浜公園利活用事業(拠点Ⅱ)事業用定期借地権設定契約に係る条件規定書(案)」(以下「条件規定書」といいます。)によれば、借地権設定契約の条件は、概要、以下が予定されています(※9)。
- 借地権は、借地借家法第23条第2項に定める事業用定期借地権であり、契約の更新や建物買取請求権は排除されています(第1条、第3条、第32条)。
- 借地権の存続期間は、供用開始予定日から10年間とされており、契約締結日から供用開始日の前日までの間は、使用許可を行うとされています(第2条、第5条)。
- 事業者は、各事業年度の開始日に、年間の維持管理・運営計画書を作成し、宮古島市に提出しなければならず、また、当該維持管理・運営計画書を変更する場合には、宮古島市の承認を得なければならないとされています(第9条)。
- 事業者が、募集要項等及び認定港湾環境整備計画に定める条件及び内容(以下「事業条件」といいます。)に従って、収益施設の整備・運営事業、緑地等のリニューアル事業を実施する義務が定められています(第10条、第11条)。
- 覚書と同様に、港湾法第37条第1項第1号に基づき占用を許可する旨が定められています(第12条)。
なお、占用期間は、事業者提案に基づき、協議のうえ記載するとされています。
► 宮古島市の書面による事前の承諾を得ることなく、以下の行為を行うことは禁止されています(第21条)。
► 借地権の譲渡又は転貸等
► 収益施設の使用目的を変更すること
► 収益施設以外の建物を土地上に建築すること(認定港湾環境整備計画において予定されているものを除く。)
► 土地の区画形質又は地盤高を変更すること(認定港湾環境整備計画において予定されているものを除く。)
► 収益施設その他土地に自己の権限によって附属させた物を担保に供すること
► その他事業条件に反して土地及び収益施設を使用すること
- 宮古島市によるモニタリングの実施が予定されています(第23条)。
モニタリングは、3年に1回を目途としつつ、詳細な内容や実施方法等は宮古島市が別途通知するとされています。 - 宮古島市は、港湾環境整備計画が港湾法第51条の2第1項各号のいずれかに適合しないものとなったと認めるときは、必要な措置をとるべきことを勧告できる旨、及び、事業者が必要な措置をとらなかったときは、認定を取り消すことができるとされています。
なお、港湾法第51条の2第1項各号の内容は、下記のとおりです。
| ① 当該港湾環境整備計画の内容が当該港湾の港湾計画に適合するものであること。 ② 当該港湾環境整備計画の実施が港湾の環境の向上に資すると認められるものであること。 ③ 当該港湾環境整備計画の内容が当該港湾の利用又は保全に著しく支障を与えるおそれがないものであること。 ④ 当該港湾環境整備計画が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。 |
以上のとおり、本事業の定期借地権設定契約では、一般的な土地の賃貸借契約の内容に加えて、港湾法や認定港湾環境整備計画を踏まえた規定や、収益施設の整備・運営事業、緑地等のリニューアル事業も合わせて規定されていると整理されます。
(※6)報道発表資料 宮古島市みなとまちづくり基本計画に基づくトゥリバー海浜公園利活用事業に係る港湾環境整備計画を認定しました
https://www.city.miyakojima.lg.jp/soshiki/shityo/kensetsu/kouwan/oshirase/2026-0508-1808-121.html
(※7)宮古島市みなとまちづくり基本計画に基づくトゥリバー海浜公園利活用事業(拠点Ⅱ)募集要項
https://www.city.miyakojima.lg.jp/soshiki/shityo/kensetsu/kouwan/oshirase/files/bosyuuyoukou4.11.pdf
(※8)宮古島市みなとまちづくり基本計画に基づくトゥリバー海浜公園利活用事業(拠点Ⅱ)覚書(案)
https://www.city.miyakojima.lg.jp/soshiki/shityo/kensetsu/kouwan/oshirase/files/bettensiryou4_oboegaki.pdf
(※9)宮古島市みなとまちづくり基本計画に基づくトゥリバー海浜公園利活用事業(拠点Ⅱ)事業用定期借地権設定契約に係る条件規定書(案)
https://www.city.miyakojima.lg.jp/soshiki/shityo/kensetsu/kouwan/oshirase/files/bettensiryou5_jigyouyouteikisyakutikensetteikeiyakunikakarujyoukenkiteisyo.pdf
おわりに
冒頭で述べたとおり、本制度の活用実績は順調に増えているところ、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和8年改定版)」でもみなと緑地PPPが明記され、今後、本制度はより一層の積極的な活用が期待されるところです。
また、本ガイドラインでは、前回までにご紹介した漁港施設等活用事業制度との連携も示唆されており、様々な事業展開に向けて、今後の動きに注目が集まっています。

