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タイ法務のプラクティス(第2回)
2026.08.21
前回の第1回ではタイ法務を概説しましたが、今回第2回として、タイでビジネスをする上で絶対に知っておく必要がある外資規制について、概説いたします。
概要
外資規制とは、外国の企業や投資家が、国内の企業へ投資することや、国内で事業を展開することを制限する法令上の制度をいい、FDI(Foreign Direct Investment)規制や対内直接投資規制と言われることもあります。
タイの外資規制は、Foreign Business Act, B.E. 2542 (1999)(外国人事業法やFBAとも呼ばれます。以下「FBA」といいます。)によって定められ、①「外国人」が、②「タイ国内」で、③FBAに基づき規制される事業(以下「FBA規制事業」といいます。)を実施することが原則として制限されており、④各事業に応じた「例外要件」を充足した場合に限り、FBA規制事業を実施することが可能となります。以後数回にわたり、①~④についてそれぞれご説明いたします。
①「外国人」とは
まず、FBA上、「外国人」の定義は以下のとおりです(なお、タイにおいて実務上利用されることの少ないパートナーシップ形態については意図的に除外しておりますこと、ご了承ください。)。
a. タイ国籍を有していない個人
b. タイで登記されていない法人
c. 資本を構成する株式の50%以上をa.又はb.が保有している、タイで登記された法人
d. 資本を構成する株式の50%以上をa.からc.のいずれかが保有している、タイで登記された法人
なお、c.及びd.の該当性の有無は、実質的な議決権比率は考慮されず、あくまで持株比率にて判断されます。簡単に図解すると以下のとおりとなります(下図の「タイ法人」とは、タイで登記(設立)された法人を指します)。

あくまで「外国人」を対象とした規制ですので、タイ人又は/及びタイ資本の法人に株式の50%以上の出資を依頼することで、外資規制の適用を受けることなく、タイ国内での事業を実施することを検討することも可能です。但し、外国人事業法上、タイ人又は/及びタイ資本の法人の名義のみを借りることは一切禁じられており、この問題は別の回にて触れさせていただく予定です。
② 「タイ国内」での事業の実施とは
FBA上、「外国人」による事業の実施が制限されるのは、当然のことながら「タイ国内」となります。ここでいう「タイ国内」とは、基本的には物理的な意味合いで、例えばタイで設立された法人が事業を行う場合は、事業内容が海外消費者向けの商品販売であるとしても、「タイ国内」で事業を実施しているとみなされます。他方、タイ国外で設立された法人が遠隔でタイでの事業を行う場合、例えばタイの消費者が通販にて海外から商品を購入する場合、当該商品を販売している事業者は、原則として「タイ国内」で事業を実施しているものとはみなされません。但し、遠隔で事業を行っている中で、以下のような行為を行う場合には、「タイ国内」で事業を行っているものとみなされる可能性があるため、注意が必要です。
a. 事業を提供するためにタイ国内に人員を派遣している場合(例:新規顧客開拓のためのマーケティング活動など)
b. タイ国内の別法人(子会社を含みます。)や個人に委託して、事業の一部をタイ国内で提供させている場合
c. 事業実施のために必要な機器や設備をタイ国内に貸し出した上で利用させている場合
よく頂くご質問として、「タイ国内の子会社に出張ベースで人員を派遣して指導を行ってもよいか」、「タイ国内にオンラインで販売している製品について、更に販路を広げるために出張ベースで営業に行ってもよいか」というものがございます。前述の留意点を踏まえますと、これらのご質問に対するお答えは、厳密には「No」となります。
次回に向けて
次回は、上記③(FBA規制事業)について、具体的にご説明いたします。
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