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タイ法務のプラクティス(第3回)
2026.08.24
第3回は、前回の続きで、タイの外資規制の概要となります。前回のおさらいですが、タイの外資規制を定めるForeign Business Act, B.E. 2542 (1999)(以下「FBA」といいます。)上、①「外国人」が、②「タイ国内」で、③FBA規制事業を実施することは原則規制されており、④各事業に応じた「例外要件」を充足した場合に限り、FBA規制事業を実施することが可能です。今回は、③FBA規制事業の概要についてご説明いたします。
法令上の整理について
FBA規制事業は、FBAの別表1から3に列挙されており、その概要は以下のとおりです。
別表1:「外国人」による実施が禁止される事業(例外なし)
別表2:「外国人」による実施が原則禁止され、実施のために特に厳しい要件が規定されている事業(国家公安や伝統保護の観点)
別表3:「外国人」による実施が原則禁止され、実施のために一定の要件が規定されている事業(タイ国内産業の競争力維持の観点)
参考:https://www.boi.go.th/upload/Foreign%20Business%20Act_5dd766122ff27.pdf
(なお、ほとんどご質問いただくことがない別表1及び2についてはここでは説明は割愛いたします。)
別表3には、販売業、ホテル業及び飲食業などが含まれておりますが、特に注意すべきサービス業から見ていきます。
サービス業に対する規制について
別表3には、以下のように規定されております。
(21) Other service businesses, with the exception of service businesses as prescribed in the Ministerial Regulation (参考訳:その他サービス業。但し省令で定めるものは除く。)
ご覧のとおり、非常に漠然とした記載となっており、サービス業全般はおよそFBA規制事業に含まれるとも解釈されます。実際に、販売業や飲食業などの、明らかに別のFBA規制事業に該当するといえる業態を除き、サービス業に該当すると整理され、結論としてFBA規制事業として取り扱われることが多いのが現状です。
なお、2019年に施行された商務省令により、一定のグループ会社間での貸付、賃貸等及びアドバイザリー業務等は、サービス業から除外されております。また、前述のとおり、「但し省令で定めるものは除く」旨が規定されており、過去に施行された商務省令にて、金融(証券・保険)関連の事業や駐在員事務所等による活動なども除外されておりますが、ここでは説明を割愛いたします。
販売業に対する規制について
次に、販売業については、④の例外要件の文脈で説明されることもありますが、別表3にて以下のとおり明文で規定されております。
(14) Retail sale of goods of all types with the total minimum capital in the amount lower than one hundred million Baht or with the minimum capital of each store in the amount lower than twenty million Baht (参考訳:(払込済みの)登録資本金が1億タイバーツ未満、又は各店舗の(払込済みの)登録資本金が2,000万タイバーツ未満である、あらゆる種類の商品の小売業)
(15) Wholesale of all types with the minimum capital of each store in the amount lower than one hundred million Baht (参考訳:各店舗の(払込済みの)登録資本金が1億タイバーツ未満である、あらゆる種類の商品の卸売業)
ここで押さえるべきポイントは以下の点です。
- (払込済みの)登録資本金が1億タイバーツ以上であれば、運営可能な店舗数に差異はあるものの、そもそも販売業はFBA規制事業に該当しないこと
- 販売業は、小売業と卸売業を明確に区別して規定されていること
まず、一点目ですが、「(払込済みの)登録資本金が1億タイバーツ未満のあらゆる種類の商品の小売業/卸売業」である場合にFBA規制事業となると規定されているため、1億タイバーツ以上の登録資本金があれば、これには該当しないということになります。
次に、二点目ですが、FBAを所管する商務省事業開発局(Department of Business Development。DBDとも呼ばれる政府機関です。)の公表資料によれば、事業者から商品の所有権が最終消費者に直接移転する場合は小売業、最終消費者に移転しない場合は卸売業と区別されます。仮にいずれの商流も存在する場合には、小売業及び卸売業という別の形態の事業を行っているものとみなされます。
製造業について
長くなってしまいましたが、最後に製造業についても簡単に説明させていただきます。
大前提として、FBA上、製造業はFBA規制事業に該当いたしません。したがって、「外国人」であっても、製造業を実施するための工場を確保した上で、その適用法令に基づく工場の操業許可(及びその他適用法令に基づき必要な許認可など)を取得すれば足りるという結論となりますが、以下の二点については必ず押さえておく必要があります。
- 製造業は、製造した商品を販売する目的で行われるものであることから、当該販売行為をもって別途販売業を行っているものとはみなされません。よって、製造した商品の販売については前述の規制を受けることなく、製造業の一環として遂行することが可能です。また、その他にも製造業に付随すると考えられる行為・事業(販売した商品の設置、修理など)も、製造業の一環とされております。
但し、あくまで製造業に付随して行われることが前提のため、例えば事業者自身が製造していない類似の商品の修理を行い、その修理代金を請求することは、もはや製造業の範疇を超えることとなり、規制対象となり得ますので注意が必要です。
- 製造業であっても、受託製造業(製品の仕様等を委託者が指定した上で、受託者が委託者に代わって製品を製造すること。いわゆるOEM。)は、製造業ではなくサービス業に分類されます。したがって、受託製造業である場合は、FBA規制事業とみなされますので、「外国人」による実施が原則禁止されます。
数年前には、DBDが、受託製造業を行っている「外国人」を摘発した事例もありました。私たちがDue Diligenceを行う際にも、受託製造業に必要な外資規制関連のライセンスが取得されていないケースをお見受けいたしますので、まだまだ正確な理解が浸透していない点だと感じております。
次回に向けて
次回は、④(FBA規制事業実施のための例外要件)について、具体的にご説明いたします。
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