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【中国】中国の人型ロボットの衝撃とフィジカルAI時代の知財
2026.09.28
第1 中国の人型ロボットの衝撃
近時、中国の人型ロボットの発展が日本においても報道され、話題になることが多くなってきた。
中国の生成AI企業が開発したDeepSeekやKimiが注目を集め、米国の生成AI企業の技術力に急速に迫っている一方で、中国のAIは、デジタル空間の情報を処理・生成するのみならず、ロボット、自動運転車両、ドローンを中心に、物理世界でどう活かすかというフィジカルAI、具身知能(Embodied Intelligence)の時代に向かって突き進んでいる。
中国で人型ロボットが話題になる大きなきっかけになったのが、中国の旧歴の大晦日に放送される春節聯歓晩会という番組で、中国のロボット企業であるUnitree社のロボットが行ったパフォーマンスであったように思う。
2025年のパフォーマンスでは、お遊戯的な雰囲気が残っていたが、2026年のパフォーマンスでは、中国武術を披露し、壁を蹴って宙返りをするなど、驚異的な身体能力を発揮し、わずか1年で急速な技術発展を見せた。

出典:CCTV 春節聯歓晩会
その後、2026年4月に、北京で開催されたロボットによるハーフマラソン大会では、中国のスマートフォンメーカーであるHONOR社が開発したLightningが、自立走行で21.0975キロを50分26秒で完走し、当時の人間の世界記録(57分20秒)を塗り替えた。また、2026年8月に、同じく北京で開催されたロボット運動会では、天工Ultraが、100mを8.64秒で走り、世界記録を打ち立てた。
そして、中国におけるフィジカルAIの発展は、技術、産業分野のみならず、知的財産の分野でも進んできている。
そこで、本稿では、Unitree社の知財ポートフォリオを中心に、中国におけるフィジカルAIの知財について解説していきたい。
第2 フィジカルAIの専利権
1 Unitree社の知財ポートフォリオ
2026年8月に、Unitree社が、上海証券取引所の科創板(SSE STAR Market)で上場を果たした。同社は、2025年に人型ロボットの出荷台数で世界第1位となり、多くの競合企業が赤字である中で、純利益は5億9100万元に達している。
Unitree社の目論見書によれば、2026年1月31日時点で、Unitree社の専利権は以下のとおりとなっている。なお、中国では、専利法において、特許権、実用新案権、意匠権が規定されており、専利権という概念はこれら3つの権利を含んでいる。
- 発明特許権は35件(中国国内20件) 13.5%
- 実用新案権は103件(中国国内76件) 39.8%
- 意匠特許権は121件(中国国内73件) 46.7%
科創板(SSE STAR Market)は、科学技術とイノベーションを主とした証券取引市場であるため、知的財産権が重要視されているが、Unitree社の特許権は意外に少ない。
2 実用新案権の活用
Unitree社の知財ポートフォリオの特徴として、強みである身体性、運動能力を高めるために、機械構造、関節、駆動装置、放熱構造等において、実用新案権を活用していることが挙げられる。
実用新案権は、製品の形状や構造を保護する知的財産権であり、ロボットの機械構造、関節、脚部、腕部、駆動装置、減速機、放熱構造等は、実用新案権により保護することができる。
実用新案権は、保護期間が10年と短く、実質審査を経ていないため、権利の安定性が低く無効にもなりやすく、実務上、権利行使の際は、権利評価報告書が必要となるデメリットがあるが、実質審査がなく6か月程度で登録できるメリットがある。
日本では、実用新案権が出願、活用されることは少ないが、中国では、実務的にも多く活用されており、実用新案権侵害訴訟の件数も多く、6056万元(約14億2000万円)の損害賠償が認められた裁判例もある[1]。
3 意匠権の活用
Unitree社の知財ポートフォリオのもう一つの特徴は、意匠権を多く活用している点である。ロボットの立体形状のデザインを保護する方法としては、立体商標や著作権も考えられるが、レゴの立体形状が、立体商標として保護された裁判例[2]や、ロボット犬のデザインが応用美術として著作権で保護された裁判例[3]もあるものの、一般的に、商標権や著作権による保護のハードルは高く、意匠権の活用が有効である。
中国の意匠権は、保護期間が15年であり、日本の意匠権の保護期間である25年と比べて短く、実質審査を経ていないため、権利安定性が低く無効にもなりやすく、実務上、権利行使の際は、権利評価報告書が必要となるデメリットがあるが、原則として、実体審査が行われないため、権利登録を受けやすいというメリットがあり、中国のロボット企業も、意匠権を多く活用している。

Unitree社の四足ロボット(CN309838733S)と人型ロボット(CN309723617S)の意匠権
出典:中国国家知識産権局 意匠専利検索公共サービスシステム
特に、フィジカルAI製品は、機体のデザイン性が、プロモーションにおける重要な要素で、顧客を引き付ける効果を持つことも多いため、意匠権の積極的な活用も検討に値する。
中国における日系企業においては、特許権に比べて、実用新案権や意匠権の出願や権利行使がかなり少ない傾向があるが、ロボット製品は、設計、開発、試験、改善の期間(イテレーション)が短く、製品のライフサイクルが早いため、権利保護期間が短くても、早く登録できる実用新案権や意匠権は、フィジカルAIの時代において重要になるであろう。
4 特許権の活用
一方、Unitree社は、UBTECH社やTesla社のOptimus等の競合と比べて、ハンドに関する技術、操作制御、タスク制御、マシンビジョン、自律的意思決定、AIアルゴリズムに関する特許が少なく、ハードウェアに偏っている傾向があり、身体と小脳(平衡感覚)は発達しているが、大脳の発達が遅れていると言われることがある。
今後、フィジカルAIの技術的な中心は、身体や小脳から大脳に相当する技術に移っていくことになるが、Unitree社は、調達した資金の約半分を、AI脳の研究開発(人型ロボット向けの汎用AIモデル、運動制御アルゴリズム、具身化知能)に投入するとしている。
ロボットの制御方法、学習モデル、AIアルゴリズム等には、特許権が重要になる。アルゴリズムは、ハードウェアと組み合わせて具体的な問題を解決する場合には、特許になりやすいため、フィジカルAI製品においては、AIアルゴリズム特許が非常に重要になる。
5 悪意による知財訴訟のリスク
Unitree社の上場に際してもう一つ話題になったのが、悪意による知的財産権侵害訴訟である。悪意による訴訟とは、通常、当事者が違法又は不当な利益を得ることを目的とし、或いは相手方に損害を与えることを目的として、故意に提起する、法律上又は事実上根拠のない訴えを指す。Unitree社は、上場の前に特許権侵害訴訟を提起され、最高人民法院によりこれが悪意のある訴訟であると認定された。
2025年6月25日に、特許権者が、関連会社からロボット犬の特許を取得して、5日後の2025年7月に、Unitree社のG02ロボットに特許権侵害訴訟を提起した。2025年9月2日に、特許権者は、Unitree社のA2ロボットに対しても特許侵害訴訟を提起した。これに対し、Unitree社は、A2ロボット、G02ロボットのいずれも悪意訴訟に該当するとして、当該特許権者に8万元の損害賠償を反訴請求した。
G02ロボットの事件において、最高人民法院は、特許の権利範囲に含まれないと判断し、特許権者の会社が、実際に特許製品を製造販売しておらず、事業範囲も特許技術とは無関係であること、特許を譲り受けてから5日後に、特許侵害訴訟を提起したこと、訴状ではUnitree社の侵害による利益が数千万元に上ると主張する一方で、損害賠償請求額は500元にとどめ、損害賠償は「人民法院の査定を基準とする」と要求したことについて、信義誠実の原則に反し、これは厳しく批判されるべきであると判示した[4]。
反訴請求について、特許権者の会社が、Unitree社のG02とA2のロボット犬製品が特許権侵害を構成しないことをわかった上で、事実上の根拠が明らかに欠如しているにもかかわらず、Unitree社の新規株式公開(IPO)という重要な時期に、同社の複数の機種のロボット犬製品に対し繰り返し特許侵害訴訟を提起した行為は、悪意による知的財産権訴訟の提起に該当すると認定し、特許権者の会社に対し、Unitree社が主張する経済的損害8万元の全額を賠償するよう命じた[5]。

Unitree社のG02ロボット A2ロボット
出典:Unitree社ウェブサイト
ロボット産業は、ハードウェアへの依存度が高く、リバースエンジニアリングを行いやすいため、特許権、実用新案権、意匠権の侵害を発見されやすい。
また、上場の際には、上場を順調に進めるために、高額な賠償金を払ってでも和解に応じる可能性が高まるため、悪意による知的財産権侵害訴訟の標的になりやすい。
2026年上半期において、中国では、19社のロボットのユニコーン企業が誕生しており、中国で同時期に誕生したユニコーン企業の約30%を占めている。今後ロボット企業の上場が増加してくると予想されるが、悪意の知的財産権訴訟に巻き込まれるリスクも考えられる。
6 職務発明の帰属紛争と発明者の非公開
中国の専利法では、発明・創造の完成時期が、従業員の退職、定年、又は労働関係の終了後1年以内であり(期間要件)、その発明・創造の内容が、従業員が元の勤務先で担当していた本職業務又は元の勤務先から割り当てられた任務に関連している場合(関連性要件)には、元の会社の任務で完成した職務発明・創造に該当し、当該専利権を出願する権利が元の会社に帰属することが定められている[6]。
ロボット業界では、コア技術者が不足し、人材争奪戦が激しさを増しており、職務発明の帰属紛争や競業避止義務違反の紛争も多くなってきている。
発明者の情報が公開されれば、競合他社からは人材を引き抜かれるおそれがあるため、中国では発明者を非公開にすることがある。中国の専利法では、発明者の氏名を非公開にすることができ、Unitree社は、23件の発明特許のうち、11件で発明者を非公開にしており(46.80%)、AGIBOT社では、26件の発明特許26件のうち、そのすべてで発明者を非公開にしている。
発明者を非公開にすることにより、研究組織の構成や研究開発の方向性の分析されることや、競業避止義務違反や退職後の職務発明の帰属紛争を防止することもできる。もっとも、PCT出願の国際段階では、発明者の非公開とすることはできないため、グローバルに出願する場合には、発明者が公開されることになる。
第3 フィジカルAIの商標権
産業用ロボットは、BtoBビジネスが中心であり、商標を活用することは比較的少なかったが、フィジカルAIの時代は、消費者向けのBtoCのビジネスも拡大していくことが予想され、ブランド戦略や商標権の活用が重要になっていく。
Unitree社の知財ポートフォリオの特徴として、商標権の多さが挙げられ、中国の企業信用情報データベース企査査のデータによれば、Unitree社(2016年設立)の商標登録件数は448件、UBTECH社(2012年設立)の商標登録件数は364件、AGIBOT社(2023年設立)の商標登録件数は268件である。AGIBOT社は2023年設立であるにもかかわらず、商標登録数が多く、人型ロボット企業は商標権を重視している傾向が見える。

Unitree社の図形商標(83310813号、86795828号)
出典:中国国家知識産権局商標局データベース
ロボットは、ソフトウェア、アルゴリズム、ハードウェアの統合した製品であることが通常で、ソフトウェアやアルゴリズムの開発サービスと同時に、ハードウェアの販売、保守サービス、レンタルサービスも展開する可能性がある。また、活用場面も、娯楽、農業、産業、医療、家庭、自動車、教育等様々な業界に跨るため、ロボットのビジネスモデルを意識して、複数
指定区分で商標登録を行う必要がある。
例えば、ロボット製品については、第7類の機械設備類(農業用ロボット、産業用ロボット等)、第9類の科学機器類(娯楽用の対話・学習機能を有するロボット、教育用ロボット、実験室ロボット、研究用ロボット、家事・清掃・選択用人工知能搭載人型ロボット、遠隔ロボット、セキュリティ監視ロボット、制御ソフトウェア等)が基本となる。
次に、ロボットに付随するサービスについては、第35類の広告販売類(プロモーション、販売、輸出入代理等)、第37類の建築修理類(設置・修理等)、第42類の設計研究類(工業品の外観設計、ソフトウェア、ハードウェアに関連する技術サービスなど)を登録することが考えられる。なお、レンタルサービスは、ロボットの内容に応じて指定区分が変わる。
このほかに、活用場面に応じて、医療用ロボットは第10類の医療機器類、自動運転・配送ロボットは第12類の運輸工具類、玩具ロボットは第28類のおもちゃ・人形・運動用具類、ロボットによる教育・文化活動、イベントを行う場合は第41類の教育娯楽類等を登録することが考えられる。
商標権の出願傾向から、その会社が重視している事業領域が見えてくる。企査査によれば、Unitree社の商標出願の指定区分は、第9類が116件、第28類が110件、第7類が109件、第42類が106件、第35類が87件、第41類が41件となっており、広告、玩具、教育・イベントにも力を入れていることが読み取れる。
第4 フィジカルAIの著作権
ロボットに用いられるソフトウェアのソースコードや学習データセットなどは著作権として保護することができる。中国では、著作権の帰属を証明する方法として、実務上、著作権登録を活用することが多く、ソフトウェア著作権登録も多い。Unitree社も制御ソフトウェア、アプリケーション、ナビゲーションシステム、モニタリングシステム、操作システム等のソフトウェア著作権登録を行っている。
また、ロボットに関する著作権としては、オープンソースライセンス(MIT、GPL、Apacheなど)の条件に注意する必要がある。ロボットのオペレーティングシステムは、ROS(Robot Operating System)などのオープンソースに基づいて開発されることが多く、ソフトウェアが製品の中で大きな比重を占めているが、そのライセンス条件には強制的な義務が含まれていることがある。
オープンソースライセンスによって、コードの改変、開示、商用利用に課される義務は異なり、例えば、著作権表示やソースコードの入手方法を明記することが求められる場合、オープンソースコードに基づいて開発された派生コードを、同様のオープンソース方式で一般に公開することが求められる場合もある。オープンソースライセンス条件(ソースコードの公開義務)の違反によりライセンス契約が自動的に解除され、オープンソースコードの利用が著作権侵害となり、侵害行為の差止めと損害賠償責任を負うとした裁判例もあるため注意を要する[7]。
第5 フィジカルAIの営業秘密管理
ロボット製品は、ハードウェアへの依存度が高いため、リバースエンジニアリングの対象となりやすい技術(本体構造、脚部、関節、手の構造、エネルギーシステム、制御方法等)については、特許権、実用新案権、意匠権を出願・登録することが望ましいが、アルゴリズムのパラメータ、製造プロセス等のリバースエンジニアリングしにくい技術については営業秘密として保護することが望ましい。
営業秘密は、他者の研究開発やリバースエンジニアリングを阻止できないこと、一旦漏洩した場合に営業秘密としての保護ができなくなること、権利保護における立証が困難であること、権利を公示しないため企業価値評価や資金調達において不利であることがデメリットとなるが、保護を受けるために技術を公開する必要がないこと、秘密保持措置が有効である限り理論上は永久に保護できること、保護を受けるために出願や登録が必要なく、他の外国や地域でも保護を受けやすいことがメリットとなる。
米国の事例ではあるが、フィジカルAI分野の営業秘密紛争として、Tesla社のDexterous Hand技術に関する事件がある。2025年6月、Tesla社は、米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提訴し、元従業員が退職前に、Optimusプロジェクトの精密センサー配置、運動制御のアルゴリズム、ソースコード、サプライヤーリスト、モーター駆動設計など、ロボットハンドの制御システムに関する技術文書を違法にダウンロードして自身のスマートフォンに保存し、退職後わずか6日でロボットスタートアップを設立し、Tesla社が数十億ドルを投じ、4年を費やして開発したロボットハンドと類似する製品をわずか5ヶ月で販売したと主張した。2026年6月末に和解が成立し、Tesla社は訴えを取り下げている。
第6 フィジカルAIのデータ保護
フィジカルAIは、センサーやカメラにより周辺環境のデータを収集して、学習を行い、その対応の精度を高めていくため、フィジカルAIの運用に伴い稼働ログ、視覚データ、触覚データ、体性感覚データ、顧客現場データ、失敗サンプル、シミュレーションデータなど、数多くのデータが収集、使用、保存されることになり、データの保護も重要となる。
中国では、データの権利は、編集著作物として著作権法によって保護されるほか、不正競争防止法によって保護されることが多い。
データが、公衆に知られておらず、商業的価値を有し、かつ権利者によって適切な秘密保持措置が講じられている技術情報、経営情報その他の商業情報である場合は、「営業秘密」として、不正競争防止法によって保護することができる(不正競争防止法第10条)。
また、2025年10月15日から施行された改正法において、「事業者は、詐欺、脅迫、技術的管理措置の回避又は破壊等の不正な手段を用いて、他の事業者が合法的に保有するデータを取得・利用し、他の事業者の正当な権益を侵害し、市場競争秩序を乱してはならない」というデータ侵害に関する不正競争行為が規定されている(不正競争防止法第13条第3項)。
データの保護に関する訴訟において、実務上争点となることが多いのが、データの帰属である。中国では、データの権利を登記により公示しようとする試験的な取り組みが行われており、国家知的財産権局が主導するデータ知的財産権登記制度と国家データ局が主導するデータ財産権登記制度がそれぞれ行われている。
中国の裁判所が、データ知的財産権登記証について、原告がデータセットに対する財産的利益を有していること及びデータの取得方法が適法であることを裏付ける「初歩的な証拠」になると判断した裁判例もある[8]。初歩的な証拠とは、立証責任を転換して、相手方の反証がない限り、証明しようとする内容を認定する証拠を意味する。
具身知能(Embodied Intelligence)に関するデータセットのデータ知的財産権登記や商用化の事例も出てきており、例えば、杭州にある群核科技(MANYCORE)という会社は、「屋内空間における具身知能ロボットの訓練に適用される3Dデータ」という住宅、商業施設、工場等の多様な屋内空間で、具身知能ロボットが学習するための3Dデータのデータ知的財産権を登録している。現在、このデータセットは、Unitree社、AGIBOT社など中国内外の約100社の顧客に活用されており、累計収益は1億元近くに達している。
データの取引や権利行使に備えるため、フィジカルAIに関するデータセットについて、データ知的財産権登記やデータ財産権登記を活用することも考えられる。
第7 最後に
ロボット運動会に代表されるように、中国のフィジカルAIは、そのハードウェアの身体能力に注目が集まることが多いが、今後は、ロボットの学習、工場や生活空間での活用が進んでいくにつれて、フィジカルAIの技術的な中心は、身体や小脳から、手先の器用さや大脳に相当する技術に移っていくことになる。
フィジカルAI製品は、ハードウェア、データ、アルゴリズム、ソフトウェア等のさまざまな知的財産的要素の集合体であり、また、ロボットの用途も、産業、掃除、配送、ペット、医療、介護、介護等多岐にわたることから、構成要素や用途に応じた知財戦略が要求されることになる。
また、今後は、フィジカルAI分野の標準化が進み、世界シェアの大きさからすれば、中国が提案する標準が国際標準となっていく可能性もある。2025年12月、中国の工業情報化部(MIIT)に「人型ロボットと具身知能の標準化技術委員会」が設立された[9]。2026年8月24日には、「国家人型ロボット産業標準体系構築ガイドライン(2026年版)」が公表され[10]、同年9月23日まで意見が募集されており、能力試験及び評価方法、重要技術、プラットフォームとシステム、応用場面、セキュリティガバナンスなどの面で、少なくとも100件の重要標準を策定するとしている。フィジカルAI分野でも標準必須特許侵害紛争が発生する時代が来るかもしれない。
中国のフィジカルAIは社会的な実装や標準化が進み、裁判例の蓄積も進んできているため、日本企業にとっても、中国のフィジカルAI企業の知財戦略や裁判例を研究することが重要になっていくであろう。今後も、中国のフィジカルAIや知財に関する最新状況を随時配信していく予定であるため、ご参考いただければ幸いである。
以上
[1] (2020)最高法知民終891号民事判決
[2] (2020)粤0114民初13947号民事判決
[3] (2018)粤民終361号民事判決
[4] (2025)最高法知民終756号民事判決
[5] (2026)最高法知民終96号民事判決
[6] 専利法第6条第1項、専利法施行細則第13条第1項第3号
[7] (2019)粤73知民初207号
[8] (2024)京73民終546号民事判決
[9] https://www.miit.gov.cn/xwfb/bldhd/art/2025/art_25c6077c819d4a77aa7a900a82bbde45.html
[10] https://www.miit.gov.cn/jgsj/kjs/jscx/bzgf/art/2026/art_ef26915b2f0843d58a22f5a090690195.html
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