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第57回特許制度小委員会(2026年8月20日)の審議について
2026.08.24
はじめに
2026年8月20日、産業構造審議会知的財産分科会第57回特許制度小委員会が開催され、特許制度に関する検討が行われました。本稿では、特許制度小委員会の委員を拝命している松山智恵とオブザーバーとして参加している齋藤俊より、第57回特許制度小委員会における審議の内容について、簡単にご紹介いたします。
議論の内容
第57回特許制度小委員会では、以下2つの議題について議論が行われました。
- 国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護
- 知的財産の侵害抑止へ向けた取組
特に、「2. 知的財産の侵害抑止へ向けた取組」では、以下にご紹介するように、今後の法改正にもつながり得る内容が議論され、引き続き議論を行うこととなりました。
以下、それぞれの概要をご説明いたします。
1.国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護
国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護については、これまでの特許制度小委員会において、「実質的に国内の実施行為と認められるか否かの判断において考慮され得る要素について議論を深めるとともに、(中略)『考え方の整理』を作成・公表する方向性」となり、当該「考え方の整理」について議論が行われてきました(特許庁「特許制度に関する検討課題について」(以下「本資料」といいます。)2頁)。なお、この「考え方の整理」は、知財ユーザーが、権利行使をする、サービスの提供をする、出願をするというような様々な場面で参考にできるようにすることを目指して作成されるものです。
今回の小委員会では、「被疑侵害行為の類型を用いた整理を行うとともに、被疑侵害行為の類型を作成するに当たり参考とした海外事例を知財ユーザーの参考として盛り込み」、「考え方の整理」のドラフトの準備を進めることや、「考え方の整理」の構成案等について議論がなされました(本資料10頁)。その他の点も含め、議論の詳細は、特許庁のホームページで今後公開される議事録をご参照いただければ幸いです。
今回の議論を踏まえて、今後も引き続き「考え方の整理」について検討が進められます。
2.知的財産の侵害抑止へ向けた取組
知的財産の侵害抑止へ向けた取組では、特許庁事務局から、主に以下の内容について説明がありました。
- 侵害者の手元に利益が残り得る状況であること。特に、令和元年以降の判決で、①権利者への支払が命じられた損害賠償額の総額は約56億円であり、②推定覆滅が認められた利益額の総額が約144億円であること(本資料18頁)
- 特許法第102条第2項の損害額の推定の覆滅事由のうちの1つが考慮され、単独で5割以上の覆滅が認定された事例があること(本資料19頁)
- 過去の本小委員会における議論の振り返り(本資料20-23頁)
- 諸外国の侵害抑止を目的とした金銭的救済制度の導入状況(本資料24頁)
- 証拠収集手続きの在り方(本資料25頁)
今回の小委員会の議論では、特許権の侵害事案における民事救済措置の在り方についてどのように考えるかについて議論がありました。特に、悪質な侵害についての民事救済措置(何が「悪質な侵害」に該当するか等)や、議論の前提や論点をより整理する必要性等について、議論が行われました。議論の詳細は、特許庁のホームページで今後公開される議事録をご参照いただければ幸いです。
おわりに
上記のとおり、今回の特許制度小委員会では2つの議題について議論が行われたところ、1つ目の「国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護」については、「考え方の整理」のドラフトに向けて具体的な構成案等について議論が行われました。2つ目の「知的財産の侵害抑止へ向けた取組」については、法改正も念頭におきながら、引き続き議論を行うこととなりました。
なお、次回の特許制度小委員会の開催予定日時は、令和8年10月頃を想定とのことです(本資料28頁)。
より良い知的財産制度の実現に向けて、弊職らも尽力してまいりますとともに、進展がございましたら本ブログでご報告させていただく所存です。

