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【宇宙ブログ】宇宙活動法の見直しに関する小委員会への参加について(第2回)
2024.12.03
はじめに
2024年9月、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(以下「宇宙活動法」といいます。)の改正に向け、宇宙政策委員会の下に「宇宙活動法の見直しに関する小委員会」(以下「本小委員会」といいます。)が設置されました。弊所の新谷が委員を務めるほか、私も各回で海外法制度の調査結果を報告しております。
※本小委員会及び本小委員会への弊所のかかわりの詳細は、こちらのブログをご参照ください。
本稿では、本小委員会の第2回会合での議論の概要をご報告いたします。
第2回会合の概要
第2回会合のテーマは、「多様な宇宙輸送システムに対する制度の在り方について」でした。議題として取り上げられたのは以下の3点です。
1. 宇宙機の大気圏への再突入(帰還)行為 |
冒頭に、内閣府宇宙開発戦略推進事務局から、「検討課題と論点」と題するパワーポイントを用いて上記の各論点の解説が行われました。まず、「1. 宇宙機の大気圏への再突入(帰還)行為」に関し、再突入(帰還)行為の具体的なイメージに加え、弊所の調査結果を踏まえて「再突入に係るライセンス制度の各国比較」や「再突入に係る第三者損害賠償担保措置及び政府補償の各国比較」等についてご報告がありました。
次に、「2. 再使用型ロケットの打上げ時の着陸行為」に関しては、再使用型ロケットの打上げ時の帰還行為のイメージに加え、弊所の調査結果を踏まえた「再使用型ロケットの取扱いの各国比較」及び「現行法上の第三者損害賠償制度の比較」のご説明を受けました。
最後に、「3. 日本人・日本企業が日本国外で行う打上げ・再突入」に関連し、現行制度の内容、国内法制定勧告に加え、弊所の調査結果を踏まえて「自国民による国外打上げ・再突入規制の各国比較(ライセンスの取得が必要な者)」のご説明があり、その後で「主要論点(案)」のご説明がありました。
続いて、私から、弊所宇宙航空チーム作成の「打上げ及び再突入に係る主要国の宇宙法制度」と題するパワーポイントを用いて、米国、英国、フランス、ニュージーランド及びオーストラリアの制度をご報告いたしました。具体的には、①主要国の再突入制度の概要、②主要国の再使用型ロケットの取り扱い、及び③主要国の自国民等による国外での打上げ・再突入の取り扱いについてご報告いたしました。例えば、①については、米国、英国、フランスでは、再突入に係る免許又は許可、第三者損害賠償担保措置及び政府補償の制度が存在することや、それらの詳細等を述べました。詳細は、当該パワーポイントをご覧ください。
次に、「見直しに向けた要望等」として、宇宙往還機、地球に帰還可能な宇宙機又はロケットに係る事業等を行っている複数の企業から、宇宙活動法の改正のご要望等が提示されました。最後に、委員の皆様での意見交換等が行われました。弊所の新谷からは、再突入行為について許可制度を及ぼすことに賛成していること、及びどの行為を再突入行為として政府補償の対象とするか検討することが非常に重要であることを申し上げました。詳細は、内閣府ホームページで公開される議事要旨及び議事録をご覧下さい。
おわりに
第2回会合では、主に宇宙機の再突入行為及び再使用型ロケットの打上げ時の着陸行為について、各国の制度を踏まえた議論が行われました。特に、これらの事業を行うことを検討されている企業の皆様におかれましては、内閣府のホームページで公開される議事録等をご確認いただきつつ、自社の事業が今後宇宙活動法上の規制対象となり得るかという点に関し、早期の段階から検討を開始されることをお勧めいたします。弊所としても、皆様の検討のお手伝いをさせていただく所存です。
弊所は、主要国の法制度調査を通じて得られた知見を活かしながら、宇宙活動法の改正に係る議論に積極的に貢献してまいります。第3回以降の会合の内容についても、実務への影響を意識しながら、本ブログで随時ご紹介させていただく予定ですので、引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます。
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