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[連載]こども性暴力防止法 基礎解説(第2回) ―こども性暴力防止法の保護・防止の対象―
2026.05.21
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<執筆者のプロフィール> 2018年1月TMI総合法律事務所入所、2019年10月~2021年9月厚生労働省大臣官房総務課法務室法務指導官、2021年10月~2023年9月同省労働基準局労働条件政策課課長補佐・労働関係法専門官、2023年10月同省医政局参与、2025年4月こども家庭庁こども性暴力防止法アドバイザー。 <ご相談・お問い合わせ> 【こども性暴力防止法専用窓口】:dbs@tmi.gr.jp ※詳細は下記のページをご覧ください。 |
本連載では、こども家庭庁のこども性暴力防止法アドバイザーも務める益原大亮弁護士より、2026年12月25日施行のこども性暴力防止法について、こども性暴力防止法施行ガイドライン(GL)に触れつつ、基本的な内容を中心にコンパクトに解説を行います。
第2回では、こども性暴力防止法の保護・防止の対象について解説いたします。なお、本連載の記事一覧については、下記のページをご覧ください。
[連載]こども性暴力防止法 基礎解説
https://www.tmi.gr.jp/information/2026/18369.html
※今後、新しい記事が投稿される際には、本サイト及びTMI公式Xアカウント(https://x.com/tmi_associates)にてご案内いたします。
※なお、2025年3月~10月において、益原大亮弁護士より、こども性暴力防止法の条文解説を中心とする連載(第1回 ・第2回 ・第3回 ・第4回 ・第5回 ・第6回 )を行っていますので、ご関心があればあわせてお読みください。
児童等(保護対象)
こども性暴力防止法においては、下表のとおり、同法の保護対象となる「児童等」が定義されています。
【「児童等」の内容】
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① 学校に在籍する幼児、児童又は生徒 ※「学校」は、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、幼保連携型認定こども園を指します。 |
児童対象性暴力等・不適切な行為(防止対象)
(1)児童対象性暴力等
こども性暴力防止法においては、「児童対象性暴力等」が防止対象として設定されています。具体的には、対象事業者は、「児童対象性暴力等」を把握するための措置や「児童対象性暴力等」が疑われる場合の措置、「児童対象性暴力等」のおそれがある場合の防止措置を講じる義務等を負っています。「児童対象性暴力等」の定義と具体的な内容は下表のとおりです。
【「児童対象性暴力等」の内容】
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児童生徒性暴力等の定義 |
具体的な内容 |
| ① 性交等をすること又は性交等をさせること |
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| ② わいせつな行為をすること又はわいせつな行為をさせること(①以外) |
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| ③ 刑法182条の罪、児童ポルノ法5条~8条の罪、性的姿態撮影等処罰法2条~6条の罪に当たる行為(①②以外) |
【刑法182条の罪に当たる行為】
【児童ポルノ法5条~8条の罪に当たる行為】
【性的姿態撮影等処罰法2条~6条の罪に当たる行為】
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| ④ 次の行為で、著しく羞恥させ、若しくは不安を覚えさせるようなものをすること又はそのような行為をさせること(①~③以外) ・衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の性的な部位その他の身体の一部に触れること ・通常衣服で隠されている人の下着又は身体を撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること |
迷惑防止条例により禁止される痴漢や盗撮等(③以外)など |
| ⑤ 性的羞恥心を害する言動で、心身に有害な影響を与えるもの(①~④以外) | 児童生徒等に対する悪質なセクシュアル・ハラスメント(児童生徒等を不快にさせる性的な言動)など |
※体液をかける行為や、いわゆるディープフェイクポルノ等に当たる行為であって、表中の行為に該当する場合は「児童対象性暴力等」に該当します。
(2)不適切な行為
「不適切な行為」とは、児童対象性暴力等には至らないものの、業務上必ずしも必要な行為とまでは言えないものであって、当該行為が継続・発展することにより児童対象性暴力等につながり得る行為をいいます。
不適切な行為が行われる中で、公私の区別が不明確になったり、児童等との適切な距離感が失われたりすることにより、児童対象性暴力等に至るリスクがあるため、これを未然に防止する観点から、不適切な行為の段階で対策を講じることが重要です。
そのため、対象業務従事者による児童対象性暴力等が行われた場合のみならず、「不適切な行為」が行われた場合にも、「児童対象性暴力等が行われるおそれ」があるとして、防止措置を講じる必要があります(詳細は防止措置の解説に回します。)。
「不適切な行為」及び「重大な不適切な行為」の具体例は、下表のとおりです。ただし、「不適切」か否は、事業内容・性質(業務上の必要性)、児童等の年齢・発達・特性の状況、現場の状況等によって変わり得るものであり、この具体例に該当することで一律に不適切であると判断されるものではありません。実際には、各対象事業者において、対象業務従事者が過度に萎縮することがないよう留意しつつ、上記要素を踏まえながら、就業規則の服務規律に係る規定等において「不適切な行為」の内容を定め、周知する必要があります。不適切な行為の決定・周知や留意点等の詳細についてはGL20~24頁をご参照ください。
【「不適切な行為」の類型・具体例】
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類型 |
具体例 |
| 私的なコミュニケーション、面会、送迎等 |
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| 撮影 |
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| 密室 |
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| 身体接触 |
*未就学児に対する膝に乗せる、おんぶするといった行為は、業務として行い得るものであることに留意。
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| 排せつ介助等 |
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| 更衣 |
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| 特別扱い |
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| その他 |
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【「重大な不適切な行為」の類型・具体例】
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類型 |
具体例 |
| 私的なコミュニケーション、面会、送迎等 |
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| 身体接触 |
*いずれも、状況によっては児童対象性暴力等にも該当し得る |
*「重大な不適切な行為」については、対象業務従事者の加害認識、児童等に与えた被害の重大性、悪質性等を踏まえて判断されることとなりますが、「不適切な行為」の例に、「執拗に」、「児童等や保護者の意に反することを認識しながら」等の悪質性が高まる要素が加わった場合には、「重大な不適切な行為」に該当し得ます。
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